「少ない現役世代が高齢者を支える」の印象操作がひどい(社会保険料)

「日本は少子高齢化」と言われます。

日本は長い間「出生率が低いまま」であり「寿命は徐々に延びている」ので、子供が減り高齢者は増えています。

この「少子高齢化社会」という言葉の後に、お決まりのように付く言葉がある。
それは「少子高齢化だから、少ない現役世代が多くの高齢者を支えなくてはいけない。だから社会保険料を上げないと」。

テレビやネットニュースで、よく聞きますよね。

 

そんなときに使われる図がこれです。

(この図はネットニュースにあった画像を似せて作ったものです。内容は同じです)

きっと似た図を見たことがあると思います。
図を見ると「高齢者1人を支える現役世代がめちゃくちゃ減ってる」ということが分かります。

 

こんなニュースを見てたら、ちょっと気分が滅入りますよね?
20代、30代の人は「ちょっと無理なんですけど。勘弁してよ」と言いたいですよね?

そう思った人は、ぜひ続きを読んで下さい。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

「現役世代が支えている人」の図に違和感ないですか?

「高齢者を支える現役世代の人数」の図をよく見て下さい。
何か違和感を感じませんか?

まず「なぜ西暦の間隔がバラバラなのか?」と思いませんか?

 

私が資料を作る側であれば、時間軸の間隔を合わせます。
「何年ごとに、どのように変化するのか?」を示した方が分かりやすいので。

色んなサイトを調べてみましたが、どれも時間軸がバラバラでした。
なぜでしょう?

 

次に感じた違和感は「なんで子供や学生がいないの?」です。

当たり前ですが、子供や学生には所得がありません。
子供も体調が悪ければ病院に行くし、学校にも行くし、公共施設も使います。

私も子供の頃は運動場、町営のプール、図書館、公園や遊具や広場をよく利用しました。

そういう意味では、子供を支えているのも現役世代のはずです。

社会の形を表すなら、子供も入れないと変ですよね?

こちらの方が社会の形に近いでしょう。

そう考えると色んな疑問が沸きます。

果たして「現役世代は全員が働いているの?」です。

現役世代でも働いてない人はいます。
高齢者でも働いている人はいます。

そう考えると日本社会をより正しく表すと、下記のようなイメージになるはずです。

 

「現役世代が支えている人」の図は何を表しているのか?

先ほども見せた下記の図。これは何を表しているのでしょう?

 

これは「20歳から65歳」に対する「65歳以上」の人口の割合を表したものです。

この図を使って「大変だ。税金や社会保険料が上がるのは、しかたがないよね?」という主張が繰り返されてます。

もしお金や労働の面で「支える側」と「支えられる側」で表すなら「働く人」と「働いてない人」で表すべきではないでしょうか?

そう思って調べました。
結果を見ると笑うと思います。

 

「雇用者+自営」に対する「それ以外」の割合

働いている人はどれくらいの人数でしょう?

下記は「雇用者と自営業主の推移」です。

自営業主とは「個人経営で事業している人」です。
雇用者とは「会社や公務員など雇われて給料をもらっている人や会社役員」です。

1980年から見ると自営業者は緩やかに減少し、雇用者は徐々に増加しています。
この人たちが仕事として実体価値を生み出し、社会に供給している人です。

次に日本の総人口です。

2010年あたりでピークになり、そこから緩やかに減少傾向です。

「日本の総人口」から「雇用されて働いている人+自営されている人(働いている人)」を引いた値を「それ以外の人(働いてない人)」とすると、下記の図のようになります。

最初に見た図と違う印象になりませんか?
(2030年の雇用者や自営業者は、推計できないので不明にしています)

2つの画像を並べると分かりやすいと思います。

 

印象が違いすぎますよね?
私は自分で計算しながら「ここまで違うか」と笑いました。

1980年から5年おきに並べる表にすると下記のようになります。

目視で感覚を掴むためグラフ化すると。

全く異なる印象になることが分かります。

 

世間一般で使われている「高齢者に対する現役世代の割合」で見ると「こんなに減ってるのか。確かにヤバイ」という印象を受けます。

それに対して「働いている人」に対する「働いてない人」の割合で見ると「減ってるはいるが、大きな変化ではない」という印象になります。

 

私が作ったデータの方が、より日本社会の実態に近いのではないでしょうか。
「子供の存在を無視」し「年齢によって支える側と支えられる側」と定義するのは、あまりにも雑です。

ここまで雑だと「意図的な印象操作」だと思うのは私だけでしょうか?

私は下記の図を「時間軸がバラバラなのか違和感がある」と言いました。

これは時間軸をずらすことで「より大きな変化がある」という印象付けたい意図があるように思えます。

 

なぜ「現役世代が支えている人の図」が多用されるのか

「現役世代が支えている人の図」はテレビやネットニュースで似た図が多用されています。
なぜ似た図が使われるのでしょう?

それは個人が考えて作ったわけではなく「同じ情報を見て」作っているからです。

その情報源は厚生労働省や内閣府です。
下記のグラフは、内閣府の資料です。

厚生労働省や内閣府には、こういった資料や文章が複数あります。

文章では「1980年には高齢者を支える現役世代は〇人だが、2012年には〇人になり、2030年には〇人になる」という書き方なので、その文章を見て作っているから時間軸がバラバラになってしまうのです。

 

厚労省や内閣府の狙いは、おそらく「社会保障を上げる材料」にしているのでしょう。
そのためには、より強いインパクトが必要になります。

他の目的の人もいるでしょう。
例えば証券会社や保険会社の関係者。

「世の中、不安だよね?心配だよね?」と煽りを入れて「じゃ、資産運用しましょうよ」「じゃ、保険に入り備えましょうよ」というビジネスですね。

人は「安全でいたい」という欲求があるので、不安を煽ると誘導されてしまうものです。
ビジネスでよく使われる手です。

 

私たちは誘導されないために「冷静に物事を多角的に見る目」が問われていると思います。

新型コロナを見ても「悲観して過剰に怯え過ぎず」「楽観視して軽視し過ぎず」何よりも「一喜一憂しない心持ち」が大切だと実感させられました。

 

(余談)「支える現役世代」「支えられる高齢者」という表現

私は「支える側」と「支えられる側」という表現で書きましたが、これは失礼な言い方かもしれません。

「お金や労働」という指標だけで見たら「支える側」と「支えられる側」に分けられますが、それだけが社会を支える方法でしょうか?

 

私は車生活なのであまり歩かないのですが、在宅ワークになったときに歩いてコンビニへ行きました。

近所で見かけたことがあるおじーちゃんがいたので「こんちは。何をしているんですか?」と聞いたら「この辺のゴミ拾いしているんだよ」と言っていました。

「町か何かのお仕事ですか?」と聞くと「違うよ。誰かがやらないとゴミだらけになるだろ?」と。

その方は社会を支える側ではないでしょうか?

 

子供なんてそこにいるだけで、多くの人に癒しを与える存在です。
(正直に言うと20代前半まで子供が嫌いでしたが)

そう考えると「この図って失礼だな」と思いませんか?

お金という指標だけで、年齢で区分し、互いにいがみ合い分断しても得はありません。
分断させて得を狙う人以外は。