【図解】消費税の仕組みとウソ「派遣で節税」と「還付金で儲かる」

2019年10月に消費税が8%から10%に上がった。
消費税は家計としても苦しいし、増税の影響で倒産する会社もある。

2014年の8%への増税のとき、知っている会社が畳むことになった会社も、夜逃げした会社も知っている。

この過酷とも言える消費税だが、ネットや本などではウソの情報も流れている。

その代表が
・正社員から派遣に変えると節税になる
・輸出企業は消費税還付金でボロ儲けできる
ということ。

では今回は「消費税の仕組みとウソ」について。
興味ある人は読んでみて。

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【図解】消費税の仕組み

消費税が導入されたのが1989年。
毎日払っている税金だけど、その仕組みはちょっと複雑であまり理解されていない。

まず消費税って誰が払う税なのか?
それは消費者。

消費者が負担する税だから、消費税という名前になっている。

 

消費者の反対は生産者。
この生産者である会社は消費税を負担していない。
会社は消費者から消費税を預かり、消費者の代わりに税を納めている。

簡単にいうと会社はただの集金人ということ。

 

ではどのように消費税を納めているか?

多く人が間違えてしまうのが、受取った会社が消費税を納めていると思っている。
消費税の仕組み(間違いVer)

これは間違い。
実際はもう少し複雑。

消費税の納税方法は「受け取った消費税 - 払った消費税=納める消費税」になっている。

消費税の仕組み

物流の流れの中で、会社は集金人の役割をしているだけで、消費税を負担しているのは消費者になる。

(余談)
一般的に税は「負担する人」と「納税する義務がある人」は同じなる。
これを直接税と言う。
例:所得税、法人税など

けど消費税は「負担する人」と「納税する義務がある人」が別。
それを間接税と言う。
例・消費税、酒税、ガソリン税など。

 

但し消費税は価格に転嫁できないと会社負担

消費税は消費者が負担するから会社は負担していない。
これは事実なのだが「ただし価格に転嫁できれば」という条件が付く。

それができない会社がある。

2014年の消費増税直後では、価格に転嫁できた会社は約70%。

消費税の価格転嫁状況

 

残りの30%の会社は「一部は転嫁できた」もしくは「転嫁できない・価格競争に勝つために転嫁しない」になっている。

その後、価格に転嫁できる会社は増えてはいるが、3年経過しても約80%は転嫁できず。

 

消費税が上がっても価格が上がらことは、消費者にとってはありがたい。
その一方で「それで倒産するなら上げればいいじゃん」とも思う。

これができない理由はデフレ。

デフレというのは「欲しい数」より「売りたい数」が多い状態。
売りたい数が多いと「我社のものを買って下さい」と低価格競争になる。

ライバル会社が「消費税還元キャンペーン」なんて実施するとお客は流れて行ってしまう。

その結果「消費税を転嫁しない安売り合戦」となり自己負担している会社が現れる。

消費税を価格に「転嫁できる場合」と「転嫁できない場合」

 

消費税が転嫁できず利益が減るのだったら、まだマシかもしれない。
日本の60%の会社は赤字だから、赤字が増加してしまう。

だから税の滞納の半分は消費税。

新規発生する税の滞納

 

消費税は法人税や所得税と違う点がある。

法人税は「売ったお金」から「人件費などの経費」を引いた「残ったお金(利益)」から払う税。
所得税は「多くお金が受け取れば多く払い」「少なければ少なく払う」税。

消費税は「価格に転嫁できなくても、利益がゼロでも支払う」税。

これって私のようなサラリーマンにとっても他人事ではない。
会社が赤字が増えればボーナスが下がり、給料が上がらない。

最悪は職を失い安い労働力に置き換わる。

所得が減っても失業者が増えても消費量が減り、また経済は悪くなる・・・という悪循環を日本はずっと続けている。

 

消費税は派遣を増やすと節税になるか?

前置きが長くなってしまったがここからが本題。

消費税の噂のひとつに「消費税は派遣社員を増やすと節税になる」という話がある。

雇用状況を見ると非正規で働く人はどんどん増えて、今や約4割の人が非正規。

正規と非正規の人数と割合

この図を見て「派遣で働く人が増えている理由は、消費税が節税になるからだ」という人がいる。

結論を先に言ってしまうとこれはデマ。

 

それを知るために前提になるポイントは「給料は消費税がかからない」「派遣業者に払う費用は消費税がかかる」ということ。

給与の出費・・・不課税(消費税がかからない)
派遣の出費・・・仕入れになるため課税対象(消費税がかかる)

そしてデマを言う人はこんな表をよく使う。

正社員と派遣社員の消費税の差

この表を見て「正社員を派遣にすると納税額は減っている。つまり節税になっていることだ」と結論付ける。

 

では実際はどうなっているか?
直接雇用しても派遣を雇用しても税としての支出は同じになる。

上図の「会社」から見ると「派遣会社に2万円の消費税を払い」+「98万円の消費税を納税する」ので「税としての支出は100万円」で変わらない。

つまり派遣を雇用しても消費税の節税にはならない。

 

そもそもの話をしてしまうと「派遣の人は増えている」というのも勘違い。
非正規が増えているのは事実だが、派遣は横ばいでパートが増えている。

 

輸出企業は消費税還付金でボロ儲け?

消費税に関わるもうひとつの噂。

それは「消費税還付金」。
別名で「消費税戻し税」とも言う。

 

還付金というのは「お金が戻ってくるよ」という意味。
私たちも年末調整で保険料を申告すると、一部お金が返ってくるが、これも還付金。

この「還付金を利用して儲けている企業がある」と言う。

下記の表は一般的に公表されている試算。

輸出が多い自動車や電気メーカーの大企業は、何千億という消費税の還付金が戻ってきている。
それを「消費税還付金は補助金と同じだ」と伝えている。

 

これって本当だろうか?

消費税は国内の消費者に売る場合、消費者が負担し会社が納税する。
輸出する場合には、国内に消費者がいないので、消費税はかからない。

けど流通の中では、消費税のやり取りがされている。

輸出する場合は取られる必要がない消費税を払っているから還付金として戻されている。

消費税還付金の仕組み

消費税は間接税。
間接税は負担する人と納税する人が別だから、自分が直接納税しなくても還付される仕組み。

払ったお金が戻ってきているのだから「儲け」ではない。

 

ただし。
この話には「ただし」が2つ付く。

ひとつは「下請けいじめ」の話。
要は「消費税が上がった価格を下請けに押し付けて儲ける」といったもの。

下請けにコストを下げる要求は実際にあるが、それは消費税増税時期に関わらず行われている。

一例を上げると「年次コストダウン」とか適当な名前を付けて「あなたの会社は何年も似た商品を製造していますよね?安くなるように工夫するのが企業努力では?」と言って価格を下げるよう要求する。

もし断る雰囲気を出したら「他社はもっと努力している会社があるんですよ」と言って圧力をかける。

これは「消費税還付金が悪い」のでなく「理屈なきコストダウン要求が悪い」。
例え消費税が廃止されても下請けイジメは残る問題。

 

ふたつめは「還付金には利息が付く」ということ。
2013年(平成25年)までの利息は年利4%代という数字だった。

これを「銀行の金利を見てみろよ。高すぎね?」と言われ、それ以降は下がった。
2018年(平成30年)では1.6%に。

この1.6%という金利をどう見るか?
これは意見が分かれる。

消費者の目線で言うと「定期貯金で預けても年利0.01%の時代に1.6%?マジか?」という疑問は湧く。
逆に会社から見ると「海外に売る商品は消費税がかからないのに一時的とはいえ負担させられた。その金あったらもっと儲かったのに」になる。

 

(余談)消費税は海外に売っても税収が上がらない

消費税は「国内にいる消費者が払う税」である。

国内の状況を見ると消費支出は下がる一方。
下記のグラフは2000年を「1」とした場合の「消費支出」と「非消費支出」の推移。

消費支出・・・消費によりお金を使った金額
非消費支出・・・直接税の金額(所得税、住民税、年金、医療保険、介護保険)

上がっている税金は消費税だけではなく、その他の税金も上がっている。
それに応じるように消費している金額は減り続ける。

これを見て経営者が「よし国内で商売して儲けよう」と思えるだろうか?
思えないよねぇ・・・。

 

輸出できる産業は「国内は期待ができないから維持でいいや。海外に売って儲けよう」と考える。

ところが海外に輸出するため働いても消費税収は上がらない。

 

国内消費が上がらない日本で、消費税収を上げるには税率を上げるしかない。
消費税率を上げると、みんな更に消費を控えるしかなく、また消費支出が下がる。

生活ギリギリまで消費を抑える一方で、仕事は海外に売るために頑張る。

輸出しなきゃ儲からない現状で、輸出しても税収は増えない消費税に頼っていいのだろうか?

 

情報は肩書きがある人ほど疑え

消費税の「派遣を増やせば節税になる」「還付金は補助金と同じ」という話がやっかいなのは、経済評論家や会計士という肩書きの人がブログや本で書いているところ。

それを読んだ人が「専門家が言っているのだから間違いない」と思って噂が拡散される。
ネットが当たり前になり、それが加速的に進んでいる。

ではどうすれば良いか?

それは時間がかかることだが、真逆の意見を言う人の情報を探すしかない。
両方の情報に触れれば、ある程度は信ぴょう性が判断できる。

もしくは肩書きがある人の情報など、信じやすい状況ほど疑うしかない。

それでもネットがない時代よりは便利。
上手くネットと付き合おう。