最近、私の会社ではうつ病による欠勤が増えている。
接している同僚だけで3人も休んでいる。
私の会社だけではなく、友人や知人の会社もうつ病で休む人が多いらしい。
うつ病患者数を調べてみると世間でも増え続けている。
2017年にはうつ病患者は男女合わせて127万人。
これって毎年、100人に1人がうつ病になっている。
しかし職場の雰囲気が悪いか?と言われるとそうでもない。
むしろ昔に比べると良くなっている。
昔は上司の怒鳴り声が日常だったし、物を投げたり、机を蹴る人もいた。
今はパワハラが騒がれ、そういったことはほとんどなくなっている。
じゃ、なんでうつ病の人が増えているの?
増えているのは「ねちねちハラスメント」
以前の会社の状況は、怒鳴りつけたり、物を投げたり、「バカ」「役立たず」などの言葉が聞こえた。
最近では明らかに減っている。
なのになぜうつ病が増えているのか?
それは「ねちねちハラスメント」だと思う。
ねちねちハラスメントとは
「なんでできないの?」
「終わらない理由を言って?」
「何だったらできる?」
「明日までに答え聞かせて?」
とねちねちと理詰めすること。
それがエスカレートすると
「なんで給料ってもらえると思う?」
「君に向いている仕事って他にあるとオレは思うけど君はどう思う?」
これは質問形式にしているから暴言っぽくないが、冷静になって内容を見るとひどい。
けど、上司の立場に立つと「怒ったらダメ、終わるまで帰るなと長時間労働させるのもダメ、やる気があるかも分からない、そういう状況でどうやって指導すればいいの?」という気持ち。
それに対して部下は「自分がダメな理由を言わされる」「それがずっと続く」「反論すると3倍になって理詰めされる」「黙って聞くしか無い」という気持ちになる。
「なんでやってないだ、バカヤロー」が規制されて「なんで出来ないの?どうして?どうすればできるの?」に変化したってこと。
皆さんはこれ、どちらが良いですか?
怒鳴るパワハラとネチネチはどちらが良いか?
ひと昔前を思い出すと、毎日のように怒鳴っている上司がいた。
けどそれは一部の人。
普通の人は、毎日怒鳴ろうと思っても体力なんてない。
それに怒鳴っただけに、バランスを取ろうとする。
つまり時間が建てば、ケロッと忘れる人が多かった。
これは部下の立場になると「昨日はあんなに怒ったのに、なんで今日は普通でいられるの?」と気持ちになる。
皆さんは「毎日ネチネチされると単発的に怒鳴られるのはどっちが良い?」と聞かれたらどっちを選びますか?
私は「一度怒鳴られてお終いのがマシ」と答える。
やっぱり「どうして?」と毎日のように「自分がいかにダメか」を言わされ続けたら精神的に病むって。
酒飲んで忘れようって思っても、過ぎた過去ではなく、次の日も繰り返されるのだから忘れられないよ。
私の会社や友人の会社など少ない統計ではあるが、ネチネチと理詰めしている上司を持つ人ほど、うつ病で休んでいる人が多い。
ねちねちはパワハラに該当するか?
パワハラの定義は難しい。
パワハラはパワーハラスメントを略した言葉。
パワーは「力」。ハラスメントは「嫌がらせ」という意味。
では何をもって「嫌がらせ」と決めるか?
テレビのコメンテーターでは「受けて側がパワハラと感じたらそれはパワハラ」という人もいる。
けどこれは間違い。
もしそうであれば、私は「朝8時に出勤しろ」と言われることが精神的に苦痛を感じているので、パワハラになってしまう。
「朝8時に出勤しろ」がパワハラと認定されるないよね。
ではパワハラの定義は何か?
国の機関である厚生労働省が定義を見てみると2つの条件がある。
- 職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
- 業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること
難しいのは2番目にある「業務の適正な範囲を超えているか?」という部分。
毎日ネチネチと「どうして?」「何だったらできる?」と聞いた理由は「部下の状況を随時把握するため、ヒアリングを行なった」と言われたら、適正な範囲を超えているとはなかなか言えないだろう。
けど、それによってうつ病になる人が増えたら意味がなくない?
みんなで決めよう「良いパワハラ」「悪いパワハラ」
うつ病になって働けなくなってしまう人を減らしたい。
だからこそ強引な提案をする。
それは「良いパワハラ」を決めませんか?
いや正確にいうと「良いパワハラ」じゃなくて「許容できるパワハラ」
毎日のように「どうして?」と自分のダメなところを言わされるより、一度、強く怒鳴られた方がマシ。
つまり怒鳴るパワハラを許容しませんか?ということ。
ただし自由にしたら、毎日のように怒鳴る異常な上司が現れる。
だからルールを決める。
怒鳴って良い場面は「お客さんや社内に大きな迷惑をかけたとき」と「同じ間違い繰り返したとき」。
このような状況になったときは怒鳴るだけじゃ済まされない。
上司を含めて「対策」と「対策が実施されるような歯止め」を考えて実施する。
それが完了したら「部下のせいで仕事が増えたよ!」という思いも「上司はあんなに怒ることなんだろ!」という思いも捨てて忘れること。
この方がお互いにストレスが減るのではないだろうか?
理想を言えば「怒鳴ることも怒ることもなく、ちゃんと部下を指導して」というのが望ましいが、日本には何百万人も上司がいるのに、全員にこの能力を求めるのは無理だよ。
無理だからネチネチになってしまう。
パワハラがいけない理由は、辛いと思う人がいるから。
けどパワハラがなくなって、パワハラを逃れる手法の方が辛くて、うつ病になる人が増えるなら本末転倒。
「パワハラは良くない」ではなく「病んでしまうほど辛い人が増えるのが良くない」という本来の目的に戻って考えませんか?