皆さんの給料は上がっていますか?
私は年齢が上がっているので、少しですが上がっています。
ただしベースアップはほとんどありません。
あっても少額です。
勘違いしている人もいますが「ベースアップ」と「定期昇給」はちょっと違います。
ベースアップ・・・定期昇給とは別に基本給が上がること
これは給料をもらう側としては「給料が上がるならどっちでも一緒じゃん」と思われるかもしれません。
けど会社から見ると大きく違います。
定期昇給とは、定年で退職する人、新卒で入社する人がいるので、会社の平均年齢が同じであれば会社の負担はゼロ。
一方、ベースアップはみんなの給料が増えるので会社の負担になる、という違いがあります。
今回は「個人として給料が上がった・下がった」ではなく「日本には社会全体として給料が上がらないロジックがあるんだよ」ってことをぶっちゃけよう思う。
給料が上がらない根本の原因は「消費」
なぜ私は給料をもらえているのだろう?
そう考えると「誰かが消費してくれている」から。
消費とは「ものやサービスを買う行為」
では「みんなの給料を上げるためには?」を考えると「消費を増やす」になる。
ところが日本の経済はとても悪くて、この消費がまったく伸びていない。
下記のグラフは個人消費(家計最終消費支出)と呼ばれているもの。
簡単にいうと「日本に住むみんなが1年間でどれぐらいお金を使ったの?」という消費量を表している。
2000年と2018年で比べると6%しか上がっていない。
これだけ横ばいが続く国はめずらしい。
ここから何が言えるか?
それは日本には6%しか給料が上がる余地がないってこと。
給料が上がらないのは、こういった日本経済の構造上の問題が原因になっている。
日本は一定の消費を互いに食い合う状況
よく経済用語として「パイ」という言葉がでてくる、
これはアップルパイのパイと同じ。
パイは経済の大きさを表していて「パイが大きくなる」=「みんながパイを食べられる量が増える」ということ。
ただ日本の個人消費はほぼ一定で増えてない。
その中でも売上を伸ばす会社がある。
例えばスマートフォン業界。
スマホはガラケーより機種も通信費も高額だが、2010年あたりから急激に伸びている。
当然、スマホ機種を製作・販売している会社の売上は大きくなる。
しかし、消費が同じなのにスマホ業界に消費したということは、その分だけ消費が減ってた業界があるってこと。
携帯の料金が上がったら、買う服を減らしたり、外食を減らしたり、何かしらの消費が減っているはず。
つまり食べられるパイが増えてお腹がいっぱいになった人もいる一方では、パイが食べられずお腹を減らしている人がいる。
もっと極端に言うと「誰かのお腹を減らすために、頑張って仕事をしているのが私たち」ということになる。
「給料を上げる方法」の勘違い
「給料を上げる方法」としてさまざまな勘違いがある。
その代表として
・会社の利益があがっても給料は上がらないよ
・株価が上がるってことは、給料は上がらないってことだよ
ってことを伝えたい。
「会社の利益アップ」=「給料アップではない」
よく会社では「給料上げたかったら頑張るしかないよね」と言っているのを聞く。
しかし本当にそうだろうか?
もしあなたが売上が好調な会社の社長だとする。
そのときに給料が20万円で求人を出したところ、予定より多くの希望者がいたらどうしますか?
給料を上げて募集しようなんて思わないよね。
では逆に20万円で求人だしても人が集まらない場合はどうしますか?
きっと最初にやる手は「アットホームな会社です」とか「若い女性が活躍中」とか書いて、笑顔の写真を掲載させてたりして、なんとか応募者を増やそうとするだろう。
それでも応募がない場合は?
きっと給料を上げざる得ない状況に追い込まれる。
会社が給料を上げるときは「給料を上げなくてはいけない状況」が必要になるってこと。
その状況とは人手不足。
応募しても誰も来ないとか、給料が不満で転職する人が多いという状況があって、始めて給料は上がりだす。
だからニュースで「大企業は過去最高収益を」と言われても、そこで働く人が並行して給料が上がっていない。
利益アップはあくまで「給料を上げる余地が生まれた」だけで、給料を上げる必要がなければ別のところに使われてしまう。
「株価が上がる」=「給料は上がらない証拠」
ニュースでは「株価が上がった」ことが良いことのように報じられる。
もちろん良い側面もあるが、働く人にとっては悪い側面もある。
株価が上がるきとはどんなときだろうか?
それは会社の利益が上がった、もしくは上がる見通しがあるとき。
ではその利益を稼いだのは誰?
それは会社で働く人たち。
働く人が頑張り、それを給料に反映させないと利益は増え株価が上がる。
今の日本は消費が一定なのに、国内産業を含め株価は上がっている。
株価の上昇とは「利益の中から、いかに働く人に還元していないか?」というひとつの指標でもある。
消費が増えない状況で給料を上げる方法
消費が増えてない状況で給料を上げる方法がある。
ひとつは正攻法でストライキを盾にした労使交渉。
ストライキとは「交渉に応じないのであればみんなで会社を休むぞ」と働く人が団結する法律的に認められた権利。
またストライキで経営者が損害を受けても損害賠償できない、という法律もあり働く人は守られている。
しかし日本のストライキは年々減る一方。
2017年にはわずか68件しかなくなってしまった。
これは日本の会社が200万社あると考えると、割合は0.003%になる。
このペースで日本の全ての会社が1回ストライキするのにかかる年数は3万年。
もうね、桁数が多すぎて何がなんだか分からない。
もうひとつ給料を上げる方法は、働く人同士で取り合いすること。
一番分かりやすい方法は、派遣や契約社員を増やし人件費を下げたら、その分正社員の給料は上がる。
経営者から見れば、トータルの人件費は変わらないので、経営陣に嫌われることなく遂行できる。
今の日本で行われているのはこっち。
非正規の割合は年々増え続け4割近くになっている。
2017年には働く人5500万人のうち、37%の2000万人が非正規社員。
正社員と非正規で格差を広げれば、正社員の給料は高くなる、というなんとも後味が悪い方法がある。
仕事は8割の力でちょうど良い
消費が伸びて給料が上がっていくのは、みんながハッピー。
しかし消費が伸びず、労使交渉も行われていない状況で、給料は上げるということは、誰かの踏み台にしないと給料は上がらない。
むしろ給料が高い人がさらに上がると、貯蓄に回りさらに消費が減る。
働く人はお客様でもあり、お客様の消費が減れば、会社の売上も減るという悪循環。
このロジックがある以上は・・・仕事は8割ぐらいの力でやるのがちょうど良いのではないでしょうか?
みんなが一斉に力を抜いたとしても、消費量は変わらないので給料も変わらないのだから。