賃貸保証会社の不思議なビジネスモデルの問題と実態

賃貸保証会社をご存知でしょうか?
今、新しくアパート・マンション等を借りようとすると、初期費用がとても高くなっている。

その費用のひとつが賃貸保証料。
賃貸保証業とは「賃貸を借りるときに連帯保証人の代わりなってくれる」サービス。

2014年の段階で賃貸保証を使用率は50%を超えている。
賃貸保証会社の利用率

特に都市部では賃貸保証を使っていない不動産屋を探すのが大変なぐらい利用率は上がっている。

この賃貸保証という仕組み。
調べてみると「なぜビジネスとして成立しているのか?」という疑問が湧いていくる・・・。

 

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賃貸保証料の相場

大手の賃貸保証会社の相場を調べると下記のようになった。
賃貸保証料の相場

家賃5万円で2年間住んだ場合、家賃の1ヶ月分以上の賃貸保証料が掛かるのが相場になっている。
給料の中からほとんど貯金できない人にとって痛い出費である。

 

賃貸保証の成り立ちとは?

賃貸保証会社は、もともとは「保証人がいない人へのサービス」だった。

例えば外国人。
外国から日本に来た人は身近に頼れる人がいない。

日本人でも親や兄弟との関係が上手くいかず、保証人になってくれない人もいる。
そういう頼れる人がない人を救うのが賃貸保証サービス。

 

しかしこれは建前である。

賃貸保証会社と契約するにも収入が低いと審査が通らない。

そういう人に対しては賃貸保証会社が「保証人を付けて下さい」と言われる。
保証人がいないと言うとアパートを借りることができない。

では一体誰のためのサービスなのか?

 

入居者には得がない賃貸保証ビジネスの仕組み

「保証サービス」と聞いて身近なものは、ケータイの保証だろう。
携帯会社に毎月500円程度支払うことにより、スマホが故障したときに無料、もしくは安く修理ができるサービスがある。

これは支払った人が、もしもの時に保証を得るために保証料を支払っている。

 

では、賃貸保証はどうなっているのだろうか?
賃貸保証の場合は、入所者が保証料を支払う。

もし家賃を滞納した場合は、”一時的に”賃貸保証会社が負担して大家に支払う。

では「保証金を払っているのだから、家賃の負担が減ったりするのか?」と言われたら一切変わらない。

滞納した場合は賃貸保証会社からキツイ督促が来る。
家賃保証の仕組み(滞納時)

そして家賃に遅延損害金が乗っかる。
その相場は15%の金利。
これはサラ金と借りていると変わらない金利である。

つまり賃貸保証とは「お金を支払う入居者には、得ないが支払いだけ行う」という不思議なビジネスである。

 

賃貸保証があると楽で儲かる賃貸不動産業の実態

賃貸保証契約がない場合は、家賃はどのように請求があるのでしょうか?

それは大家と不動産会社の間に結ぶ契約の中に集金代行業務も含まれており、その場合は賃貸不動産会社が請求する業務を受け持っていた。

家賃保証がない場合の家賃請求の仕組み

しかし集金代行契約を結んだからと言っても回収率は良いとは言えない。
賃貸不動産会社が行う集金代行とは電話や手紙を送るだけの仕事になっている。

だからこそ賃貸保証サービス業が成り立つ。

 

賃貸保証業とは賃貸不動産会社から見ると「家賃督促業務の外注化」である。
その外注費用をなぜか入居者に払わせる。

 

そして賃貸不動産会社の収益にも繋がっている。
賃貸保証の入居者と契約するごとにキックバックがある。

入居者が払う賃貸保証料の10%~20%が賃貸不動産会社にキックバックされる。

業務も減り、なおかつ儲かるから、賃貸不動産へアパートを借りにいくと「保証会社に加入するのは必須です」と言われる。

「いや、収入もしっかりある保証人はいます」と言っても断られる。

 

賃貸不動産業はもともと「押し売りビジネス」

大家の家賃保証料、そして家賃督促業務の委託料を入居者に払わせるのは、おかしな話である。

 

なぜ、そんなおかしな話がまかり通っているのか?
それは賃貸不動産業とは「いらないサービスを押し売りする仕事」だからである。

アパートを借りる時にかかるときにさまざまな初期費用が乗っかる。

この内、火災保険・鍵交換・家賃保証・消毒・24時間安心サポートは賃貸不動産屋にキックバックがある。

キックバックがあるからこそ高額になっている。
不動産会社を通すことなく自分で業社を探せば、費用は大きく下がる。

儲けることは悪いことではないが、利用者が望まないサービスを入居の条件にして高額で売る行為は押し売りと言わざる得ない。

また、賃貸不動産会社は大家に対しても「今の時代、礼金ゼロにして家賃を下げないと入居率は上げられないですよ」という半面、自分たちは初期費用でキックバックで儲けるという2面性がある。

 

【実例】火災保険を個人で契約するとどれほど下がるのか?

賃貸不動産が売る火災保険はとても高額である。
相場としては2年ごとに1万5千円~2万円程度。

火災保険が高い理由は2つある。

ひとつは前述のように不動産会社へのキックバック料も含まれているから。

もうひとつは、商品を選べないからである。

 

火災保険には「自分が買った家具や家電が燃えたときの家財保険」と「アパートが燃えたときに責任を負うための借家人賠償保険」の2つがセット販売されている。
(正確にいうと個人賠責という3セット)

借家人賠償は建物の保証だから、建物の価値で決まってしまう。
しかし家財に関しては入居者の所有物に対する保険だから、入居者が自由に決められる(本来は)。

不動産屋で契約すると家財の保証額は500万円とか勝手にプランを決められてしまうが、これを100万円に落とすと保険料は2年で5000円以下になる。

ちなみに私が探した中で安い火災保険は
・借家人賠償 1000万円
・家財     100万円
の内容で3600円(2年分)。

1年で1800円の保険料。
建物の構造にもよるが、火災保険を各社扱っている会社に相談すれば、これぐらいまで価格は落ちる。

安い商品を選べないのは賃貸不動産が火災保険の販売代理店であり、キックバックで儲けるためである。

 

賃貸保証会社とは債権回収のプロ集団

家賃保証の契約を結び、もし家賃の支払いが遅れた場合は厳しい取り立てが待っている。
賃貸保証会社とは取り立てのプロ集団である。

そこには消費者金融の歴史と関係する。

 

消費者金融業は2000年頃までは非常に盛んな業界で、有人・無人の店舗がそこら中に立ち並んでいた。
その業界が尻つぼみになったきっかけが、2006年のクレーゾーン金利を無効とする最高裁判決。

金利を決める法律は「金利が30%以上は罰則あり(出資法)」という法律と「金利20%以上は法律違反だけど罰則がない(利息制限法)」という2つの法律があった。

金融会社は「罰則がある法律」だけを守っていたが、これを最高裁がNGとして「罰則がない法律以上に取った利息は返還しろ」という判断を下した。

 

消費者金融業が下火になった頃、ちょうど盛り上がってきたのが賃貸保証会社。
賃貸保証のキモになるのは、家賃を回収する業務。

債権回収という意味では、消費者金融も賃貸保証会社も同じ業務である。
だから消費者金融業から賃貸不動産業へ転職した人が多い。

賃貸保証会社とは借金を回収するプロが集まっている。
そこには「おいコラ!」系の人も混じっている。

 

賃貸保証で得する人、損する人

賃貸保証サービスに関係する人は「賃貸不動産会社」「大家」「賃貸保証会社」「入居者」の4者である。

この内、得するグループは「賃貸不動産会社」「大家」「賃貸保証会社」。
賃貸保証で得する人

 

それに対して損する人は「入居者」である。

 

特に辛い立場なのは収入が低い人。
家賃を払わない人をかばうわけではないが、家賃も払えない人にも色んな背景がある。

リストラで仕事を失ったり、病気になったり、もともと身の丈に合わない家賃の所に住んでいたり。

そういう滞納する人には、当然ながら返済計画を立てなくてならない。
例えば「毎月の家賃に2万円ずつ上乗せして5ヶ月で完済する」など。

あっちを支払えば、こっちが支払えない、というギリギリの生活を送っている。
家賃を滞納しているの中に、ガス料金も払えずに止められてる人は驚くほど多い。

もちろん「もっと安い家賃のアパートを探せよ」という意見もあり正論である。
しかし「家賃+2万円」が限界の人に別のアパートを借りるための初期費用は高すぎて「引っ越ししたくても金がない」というドツボにハマっている。

 

そこに重く伸し掛かるのが物件と賃貸保証の更新料。
所得が低い人にとって賃貸保証料が重くのしかかり、更に家賃が払えなくなる事態に陥っている。

賃貸不動産会社と賃貸保証会社が儲けるために。

 

どうあるべきか?賃貸保証ビジネス

賃貸不動産会社が督促業務を行わないのであれば、大家に対して管理手数料を割り引くべきである。
大家はそのお金を使って自分で保険に入る。

これが正しい姿である。

これに対しては「金を払わない入居者のために、なぜ大家が出費しなければならんのか?」という声もあるだろう。

しかし自動車保険には当て逃げされたときに、自分の車を直せるように車両保険の仕組みがある。
他人からケガさせられた時に、治療費を出すための医療保険もある。

自分の身を守るために自分で対応することは、ごくごく当たり前の社会である。

 

もし大家が家賃保証の負担をしたくないのであれば、家賃に上乗せすれば良い。
その家賃の中から、大家が勝手に保証に入る。
これが消費者にとってシンプルで分かりやすい形である。

 

賃貸保証会社の今後を占う

賃貸保証が「保証人がいなくて困っている人のみ」が使えるサービスであれば何も問題はない。
問題なのは「保証人がいて困ってない人にも」売るのが問題なのである。

賃貸保証のトラブルは厳しい督促方法に焦点が当たりがちだが、ビジネス構造そのものに不服を言う声もあがっている。

こういった声が多くなれば法的な整備がされるだろう。

 

しかし法が整備される前に賃貸不動産業が先細りする可能性も高い。
賃貸不動産業を支えていたのは人口増加と核家族化や離婚率の高さ。

日本は出生率が低く子供の人数が減っているが、寿命も伸びているため人口は減少していない。
本格的な人口減少が始まるのは2020年以降でありこれからの話し。

また親と同居する人も少なく離婚が多くなっているため、アパートやマンションの需要が伸びたがそろそろ頭打ちになっている。

 

人口減少でもっとも打撃を受けるのは産業は賃貸不動産系である。

ものづくりの仕事であれば、良いものを作れば売れるし海外も視野に入れることができる。

しかし賃貸不動産は国内限定の商売であり、商品は大家の物で手を加えられない。
商品に価値を与えられないのが仲介業の弱みである。

 

特に地方は人口減少が増える空室も増える。
空室が増えれば、それを補うために価格競争せざる得ない。

賃貸不動産が縮小すれば賃貸保証業もおのずと縮小される。

今までお客を無視しても成り立っていた産業が、お客の顔色をうかがうビズネスモデルにならざる得ない。

法整備を待つより、市場原理の自浄作用に任せるほうが早いのかもしれない。