退職代行サービスってなに?利用する問題点と友人の体験談

皆さんは退職代行サービスってご存知ですか?

私もちょっと前に知ったのですが、退職希望者の代わりに会社に退職の意志を伝えてくれるサービスのようです。

退職を上司に伝えるのは、とても言い出しにくい。
私は転職経験は何度もあるので、何度も「退職します」という言葉を発したが、これは慣れるものでもない。

嫌なものは嫌だし、言い出しにくいものは言い出しにくい。

そこで便利なのが退職代行サービス。

自分で退職を言い出せない人、または辞めさせてもらえない人の代わりになって、会社へ退職を連絡してくれる、らしい。

退職代行サービスを行っている会社は複数あるが、値段は3万円~5万円程度。
連絡してお金を支払えば、退職させてくれる。

仕組みはとてもシンプル。

退職代行サービスの仕組み

相談からスタートして、正式に依頼、そして支払いが済めば、退職代行サービスが会社に連絡してくれる。

仮に退職できなかった場合は、全額返金という会社もある。
退職を伝えるときの苦痛に比べれば「3万~5万円の料金は安い」という見方もある。

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私はてっきり悪徳商法だと思っていた件

退職代行サービスを知ったのは少し前。

退職を会社に伝えるサービスだって?
どうせ悪徳商法だろう?
こんな手口に引っかかる人なんていないだろう。

そんな風に思っていた。

それがある事をきっかけに「そうではない」と知る事になる。

それは、友人の会社で退職代行サービスを使った人が現れたこと・・・。

それで「あ、本当に退職代行サービスってあるんだ。お金だけもらって知りませんという悪徳商法ではないんだ」と知った。

今回はこの友人の会社にあった体験談と、退職代行サービスの問題点について書いていくよ。

友人の体験談。突然の退職する連絡が来た

友人はある会社の支店長をしている。
職種は営業。

その会社に20代後半の男性が入社して来たのが2年前の話し。

前職が営業だった経験を買われて採用になったが、友人曰く「使えねぇ」らしい。
お客の前ではまともに説明ことも出来ずに、事務仕事も言われたことも出来ないほど。

そんな愚痴を聞いていた。

入社1年目の男性もいるが、既に営業成績は抜かれている。
営業の仕事って数字で成績がでるからシビアな仕事なんだよね。

そんなとき会社に一本の電話。
その電話がどうやら退職代行サービスだったらしい。

この「らしい」というのは、友人がその電話に出たわけではない。
その日は出張で不在。

実際に電話対応したのは事務の女性。

出張から帰ると事務の女性から報告を受けた。

「すいません支店長。先程、山田さんの件で電話を受けました」

「はぁ?山田?今日あいつ休みなの?」

「はい。今日は休暇日です」

「そうなんだ。で、なんて?」

「会社を辞めるみたいです」

「・・・・。はぁ?辞めるってどういう意味?」

「退職するって意味だと思います」

「・・・ごめんごめん、意味が分からないけど」

「私も分かりません」

こんな会話の流れだったらしい。
まぁ、退職代行サービスを使われた会社は、どこも似た会話になっているのではないだろうか。

友人は携帯を取り、退職を願い出た男性に電話。
しかしコールは鳴るが電話にでない。

このとき友人は勘違いをしていた。
「退職代行サービス」という職業を知らない友人は、本人が「退職します」と電話してきた、と思い込んだ。

しかし、よくよく聞いてみると電話の相手は本人ではなく、代行会社という事を理解する。

そして伝言内容は

・会社を辞めたいという意志を持っている
・そしてもう会社には行かない
・退職に必要な書類を送ってほしい

だけらしい(笑)

退職の意志は分かったが、退職の理由も分からぬまま。
引き継ぎの話しをしたくても、誰に話して良いか分からない。

その男性は、なぜ退職代行サービスを使ったのだろう?
もしかすると深い悩みを持っていたのかもしれない。

そう考えると不謹慎かもしれないが、この友人の話しを聞いて笑ってしまった。

だって、ヒゲがすごい伸びているだもん。
退職した彼がきっかけに残業しまくっているのは、顔を見ただけで分かった。

支店長、退職した人を裁判するってよ

支店長である友人はどうやら裁判に持っていくらしい。
と、いうのも友人は仕事は法律関係ではないのだが、業務として日常的に裁判している会社。

裁判に対して慣れっこなんだよね。

退職した彼は法律違反。
民法627条では退職を伝えてから2週間後に効力が発生するが、その前に退職した。

そして友人の会社の就業規則では退職の期間は1ヶ月と定めている。
就業規則の内容に合理性があれば、裁判でも否定はされない。

つまり負けない裁判。

ここで問題になるのは損害賠償の金額。

仮に退職した男性が大事な取引先を抱えていて、退職により商談をすっぽかしたとする。
それが原因で破談となったら、大きな金額を請求できるだろう。
(どこまで認められるかは裁判の結果次第だが)

しかし退職した男性は入社2年。
友人が「使えねぇ」と愚痴をもらすレベルだから、大きな仕事は任せられないだろう。

当たり前だけど、請求できるのは突然の退職による不利益でた金額。
そうなると大きな金額は請求できない。

請求として妥当と言えそうなのは、その男性が突然やめたことによって、友人や同僚が残業して穴を埋めた費用。

つまり残業代。

10万円ぐらいかな。
多く見積もっても30万円ぐらいではないだろうか。

こんな小さな額だったら普通の会社は裁判なんてしない。
本業の仕事を頑張った方が儲かるからね。

裁判というのは一回数分で終わるのだが、準備書面で正当性を述べるため書類作成には時間がかかる。
相手が反論があれば、それに対する反論を文章にする。
これを繰り返す作業。
ましてやサラリーマンには厳しく平日のみで時間指定あり。
時間の調整が大変なんだよね。

けど、友人は裁判するらしい。
今、本社のマネージャーに許可を取るために動いてるらしい。

もう意地だよね。

友人には「腹立つ気持ちは分かる。けど、使えねぇと愚痴ってたヤツをイジメてもしょうがないって。今日はおごるから仕事頑張れよ」と引き止め中である。

引き止めるのには理由がある。

退職代行サービスを使った彼の立場で考えると

目線を変えて、退職代行サービスを使った彼の立場になって考えてみる。

もし裁判になったら退職代行サービス会社は、助けてくれるのだろうか?
100%とは言えないが、普通に考えれば助けてもらえないよね。

助けてもらえないというより、助けられないと言ったほうが正しい。

助けられる可能性があるとすれば、弁護士のバッチを持っていること。
業務として他人の弁護をするためには弁護士の資格が必要になる。

しかし弁護士だったら、すぐに退職して良いなんて明らかな法律違反は勧めないだろう。
ましてや5万円のために危ない橋は渡らない。

そう考えると弁護士の資格は持っていない。
だから「申し訳ないが裁判になったら、何もできないっす」としか言えないだろう。

仮に弁護士の資格があっても絶対に5万円では裁判は引き受けないよ。
弁護士はボランティアではなく商売。

弁護士なんて儲かる仕事なのに5万円で引き受けたら赤字だよ。
弁護士の住む場所と離れた地方で裁判されたら新幹線の移動費で終わってしまう。

一審だけで終わっても20万や30万円は取るだろう。
会社側から控訴され2審まで行ったら更に倍。

つまりどの道でも本人が裁判で戦うしかない。

でもね、仮に請求額が20万円だったとする。
その請求額に妥当性があったら勝てないよ。

だったら弁護士なんて使わず20万円を払って和解して終わらす、これが賢い選択になるだろう。
時間の方がもったいないよ。

時間がもったいないのはお互い様だけど・・・。

実は私一度、退職代行をやった経験がある

実は以前に退職代行をやったことがある。
お金をもらったわけではないから、退職代行サービス業ではないけどね。

前に友人から仕事の相談を受けた。

この友人は30代半ばの女性で介護職。
会社の立場で言うと中間管理職みたいな位置で、「現場の仕事」も「送迎」も「人の管理」も一手に受け持っていた。

仕事の愚痴はよく聞いていたけど、誰でも愚痴や不満はあるもの。
だから重く考えてなかったが「ねぇ、これ見てよ」と見せられたのが、左の耳の上にあるでかい円形脱毛。

普段は髪の毛で隠れて気づかないが、見た瞬間「こりゃアウト」と思ったわけ。

実は円形脱毛症になる人は幸せな人。
明らかに外から見えるところに「やばいよ」とシグナルがでるから、ある意味幸せ。

ストレスが胃にきたり頭痛にくる人は、他人も本人も気づきにくい。

その女性は介護職として小さな街では「仕事が出来る人」と噂がでるぐらい有名らしい。
だから他の介護業者から「辞めなよ、辞めたらうちに来てね」と入社の誘いを受けていた。

そういった事情も知っていたら「残念ながら潮時ってやつです。退職です。辞めちゃいましょう」と伝えた。

退職を認めない会社

その女性は会社に退職届を出したが、会社が受け取らなかった。
その理由は、一人で多くの仕事を受け持っていたから「退職されたら業務が回らない」とのこと。

会社の言い分も分かる。
会社も困るのだろうが「一人が辞めたら仕事が回らなくなる体制に問題はないのか?」なんて思うわけ。

だから「せめて業務の負荷を分散してほしいと言え」とだけ伝えた。

それから2ヶ月。
まったくもって会社の体制は変わらず。

円形脱毛も髪の毛では隠れなくなってきていた。
男性であれば笑い話にもできるが、女性の場合は難しいだろう。

だから「義理は果たした。来週から会社に行かなくていいよ。落ち着かないなら誘ってくれた会社にでも顔出してくれば?」とだけ伝え、会社に退職の交渉へ向かった。

始めましての会社とバトル

退職の話に決着をつけるため、ひとりで会社に向かった。
しかたがないから一応スーツを着て、からっぽのビジネスバックを片手に、デキる風のビジネスマンを装って。

会社に付くと、退職のやり取りをしていた施設長を呼び出して伝えた。

「退職を認めない理由はなんですか?」

「いや、認めないわけではないんだよ」

「では認めたってことで処理していいですか?」

「まぁ」

待たされた時間も含めてわずか5分。
揉めるかなって思ったらあっさり。

そんなもんだよね。

辞めさせてくれないって言っても、止める権利がなければ辞めれるもの。
誰も破壊じめにしたり、暴力を振るうわけではないのだから。

退職に必要な知識はたったの2つ。

1つは、法律的には民法第627条1項

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

つまり普通の正社員は、いつでも退職届が出せて、出してから2週間後には退職できるということ。

(注意:6ヶ月以上の期間によって報酬を定めた場合には、3ヶ月前に退職の意思表示すること。詳しくは民法第627条3項を参照)

2つ目は就業規則。

就業規則には退職できる期間がたいがい書いてある。
多くの会社は1ヶ月。長い会社でも3ヶ月。
可能性はかなり低いが就業規則を守らないと民事で裁判されることがある。

この2つさえ守れば、誰にも文句は言われない。

「少し待って」とか「考えさせて」と言われるとしたらそれは交渉。
交渉に応じるかどうかは、こちら側の判断なんだよね。

交渉に応じたくない人は「次の仕事が決まっているので、交渉には応じられません」と明確な理由とはっきりとした意思を見せればよい。

退職が苦痛な理由

退職を会社に伝えるのは、とても嫌な作業。
自分も経験があるからとてもよく分かる。
そのときは本当に胃が痛くなった。

しかし、なぜ退職を伝える行為って辛いのだろう?

問題はここ。

退職するってことは、会社に改善できないレベルの不満や不安があるってこと。
それを伝える。

だれに?

それはその会社に残って頑張ってる人に伝える。

これが気まずい理由。

そして責任ある仕事をやっている人ほど辞めにくい。

責任ある仕事をしているからこそ、退職したときに同じ会社の人に負荷がかかる。
会社のフォローがなければ、お客さんにも迷惑がかかる。

腹立つ上司もいるが、世話になった先輩もいる。
愚痴を聞いてくれた同僚もいる。

自分が退職することで大変な想いをするのは、この先輩や同僚たち。
そしてお客さん。

そう考えると辞めると伝えづらい。

つまり退職が言いにくい理由は、会社の人や周囲の人の気持ちを想像するからこそ。

それに対して、退職代行サービスを使う人は、突然に調整の余地もなく、法律違反してまで退職する。

他人に迷惑が掛かることを知っていても強引に辞める手段を選んだ人。
だからこそ退職代行サービスを使うことができる。

けど、他人に迷惑かかろうが他人の気持ちは関係ないって思えたら、そもそも退職が言いづらい理由がない。

退職を言いづらくなければ、退職代行サービスを使う理由はなに?

ここに大きな矛盾があるように思える。

退職代行サービスの問題点

退職代行サービスってグレーだと思う。
それは法律違反を勧めることもグレー。

周辺に迷惑をかけてしまうこともグレー。

そしてトラブルになったときに、責任を持てないこともグレーだと思う。

でもそんなことは小さなこと。
世の中いろんな仕事があってグレーな仕事はいっぱいあるしね。

それに退職代行サービスに救われたって人もいるだろう。

しかし「退職代行サービスに救われたって人いる」ということが、問題に思えてしかたがない。

退職代行サービスを使ったってことは、他に頼れる人がいなかったということ。

「わり、真剣に悩んでいるだけど、ちょっといいか?」と言った時に、手を貸してくれる人がいない環境ってこと。
こっちの方が大きな問題だと思う。

ここ一番で退職代行サービスを使うことで、救われるのかもしれない。
しかし、このサービスを使う根本の問題は、人間関係の気薄さではないだろうか?

退職代行サービスを使った友人の会社の男性も、きっと手を貸してくれる人がいなかったのだろう。
そう考えると、怒っている友人に「まぁまぁ、許してあげなよ」と言いたくなってしまう。

退職代行サービスを使わざる得ない環境

退職代行サービスを使い救われている人がいる以上、一概に悪いことと言えない。
精神的に病むぐらいなら、むしろ使った方が良いのかもしれない。

勤めている会社に精神的な事情で会社に来れない人がいる。
しばらく疎遠になってしまった友人もうつ病になり、4年も仕事ができない状態が続いている。

これらの人を見ると特徴がある。

それは「職場の環境」と「プライベートの環境」のどちらも良くない状態が続いたということ。

このどちらかが上手く回っていたら、きっと会社に行けないほど病むことなかった。

職場環境は運の要素が大きい。
たまたま嫌な上司がひとりいただけで、職場環境は大きく悪くなってしまう。

しかしプライベートの環境は運だろうか?
運の要素がゼロではないが、その他の要素もたくさんある。

個人が改善できるとすれば、プライベートの方。

困ったときに、誰かが手を差し出してくれる環境があるかどうか。

人に手を貸すというと大げさに聞こえるが、行動して実利を与えることだけが、手を貸すことではない。

一緒に笑うこと、アイディアを伝えること、少し背中を押すことだって、きっと手を貸すことに繋がっている。

その環境を作るためには、自分が余力がある時には誰か支えなきゃね・・・と思うんだ。

退職代行サービスを使うことは悪いとは言い切れないが、使わざる得ない環境は、その環境そのものを見直さないといけない。

敵を作るのではなく味方を作れ、と退職代行サービスを使った彼に伝えたい。

おさらい

  • 退職の苦痛は退職代行サービス費用5万円なら安いのかもしれない
  • 退職代行サービスを使う場合、いざというときは自分でケツを拭く覚悟が必要
  • 会社から逃げるのではなく、退職代行サービスを使わざる得ない環境から逃げよ

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