今回は就職に関係する親と子の関係について、つまらない話をさせてくれ。
おれの母親の弟の子供。
いとこにあたる人でミカという女の子がいる。
同じ血が流れているのか?と思うほどに学力が高く、中学時代は学年トップだったらしい。
高校も県内トップの学校に進学した。
ただ欠点も持っている。
それは人とほとんど会話が出来ないこと。
すごい内向的な性格なんだ。
学生時代は勉強を頑張ればいいだろうけど、社会はそうはいかない。
誰とも話すことなく無言でコツコツできる仕事なんてほとんどない。
「社会に出たら苦労かもしれないなぁ」って思っていたんだよ。
そのミカが高校3年生になって進路を決めることになった。
当然、大学に進むのだろうと思っていた。
家庭環境によって大学進学できず
高校3年生になってミカは大学の進学希望した。
当然ながら、有名大学でも合格できる学力。
ただ、家に金がない。
借金取りから毎日電話がなるぐらい借金があり、お金を借りることも出来ない。
本人が空気を読んで大学は諦めたらしい。
男だったら「月に200時間ぐらいバイトすれば、なんとかなるぞ」
ってアドバイスしたかもしれないが、女の子には体力的に厳しいだろう。
別に大学が全てじゃないし、キャリアウーマンというタイプでもない。
おれ自身、学費を全額肩代わりできる貯金もないし、本人も望まないだろう。
だから、見守ることにしたんだ。
ミカが決めた進路は専門学校だった。
ミカの親が親戚を回ってかき集めた金で、なんとか学費を払えるという話になったらしい。
動物が好きでトリマー(犬や猫の床屋さん)の専門学校を選んだ。
2年後の就職先はどこに行くのか?
それから2年後、ミカの就職先を選ぶ時期。
気になって親に「ミカはどこに就職すんだ?」って聞いてみたんだ。
そしたら、一般企業に就職が決まったと。
今年の4月から事務として働くらしい。
意味が分からず理由を聞くと、どうやらトリマーでは生活が出来ないと分かったらしい。
土地柄によっても違うだろうが、給料は13万~15万が相場。
家の借金や弟のことを考えたら、それでは生活でできないと判断した。
話を聞いて悲しくなったよ。
借金やお金のことで、親を責める気はない。
その家もいろんな事情を抱えているからね。
ただ、どうしても納得できないことがある。
親は職業に対する夢を持たせる前に、現実を教えんかい!
トリマーの給料を調べるのに、インターネットを使えば5分かからない。
本屋に行っても求人雑誌を見れば、すぐに相場は分かる。
なぜ親がそれを教えることができないのか?
ミカ本人が給料調べても、学生じゃ月にいくらあれば生活できるのか?なんて分からない。
親が教えるんだよ!親が!
給料は会社によって変わるんじゃなくて、職業によって給料は大きく変わるんだ。
社会経験があるなら常識だろ?
おれが高校生の頃、そんなことは分からなかった。
売上が大きな会社は給料が高くて、小さな会社は給料が低いと思っていた。
決してそんなことはない。
求人の需要(求人数)に対して、応募する人数がすくない職種は給料が高い。
逆に求人数に対して、応募する人が多いと給料は低い。
すべては需要に対しての供給量で決まってくる。
会社は出来るだけ安く人を雇いたいんだから、当たり前の話。
学校の先生は進路相談で何も教えられない
ちなみにおれは片親(母)で育った。
学生の頃、学校で進路相談や三者面談をやったことがある。
子供ながらに、この行動は疑問だらけだった。
- 民間企業に勤めたことがない学校の先生
- パートのおばちゃん(親)
- 学生(おれ)
この3人で話し合って、将来の進路を決めるって言うんだ。
冗談だろ?これって誰が見ても人選ミスだろ?
学校の先生は公務員への道ならば教えられるだろう。
そして学校の先生がどんな仕事かも教える事ができる。
ただ、世の中のほとんどの人は民間企業に勤める。
それを民間企業で勤めた事がない3人で話し合うことになる。
唯一の希望はパートの母親。
めちゃくちゃ心もとない光。
「これで俺の将来が決まるのか?勘弁して欲しい」って思ったよ。
学校の先生が「工業系がいいか?」「商業系がいいか?」も分かる訳がない。
その先の仕事内容が分かってないのに、なぜその手前にある学校を進めることが出来るのか?
学校を選ぶために学校があるわけじゃない。
その先の仕事を選ぶために学校で学ぶ必要がある。
もうひとつ学校の先生が良くないのは、民間企業の人と交流を持っていない人が多いこと。
数人だが学校の教職員の友人がいるが、仕事の愚痴を共有するのはなかなか難しいんだ。
あまりにも「仕事とは?」の考え方が違い過ぎるんだよね。
そうすると学校の先生は学校の先生と付き合いが多く、先生同士の情報の共有したがる。
その方が分かり合える。
民間企業に勤めた事がなく、民間企業の情報も遮断している状態でどうやって先生が「民間企業で働くためには?」を教えるのさ?
だ・か・ら!親が教えるんだよ!
親は子供に教えなきゃならない必須事項
子供に英会話教室に通わせている。
確かに英語は仕事において必要性が高まっている。
ピアノの塾に通わせている。
ピアノで御飯が食べれるのは、ほんの一握りだけど感性を磨くために良いことなのかもしれない。
物事を教わるにはプロに教わった方が、効率が良いのは間違いない。
ただ、もっと先に子供に教えなけばならない大切なことがある。
それは「社会の仕組み」と「生活していくのに必要なこと」を教えること。
それを一番親身になって語れるのは、社会人のプロであり生活のプロである親なんだよ。
もし自分があまり経験がないなら、親戚のおじさんに頼っても友人に頼ってもいいじゃないか。
子供の社会勉強の為に「自分の社会経験と職業を教えてあげて欲しい」と頼んで「嫌だ」と言う人がいるか?
子供に社会を教えてくれる専門塾はないんだ。
親が教えるか親が環境を作ってあげないといけない。
子供を育てている世代の皆さまへ
夢を与えたくて親が必死になっても、興味を示さない子もいる。
ほっといても勝手に夢を持つ子もいる。
それは子供の個性であり、子供なりに考えている。
ただ、子供は経験や知識が乏しいのは間違いない。
その時には、親が情報を与えてやるべきだよ。
親が情報を選ぶのではなく、出来るだけ多くの情報を与えてあげる。
子供がプロ野球選手になりたいと言ったとする。
幼少期であればそのままでもいいが、ある年齢に達したら
「プロ野球選手は弁護士になるより狭き門だ」
と親が教えるべきだと思う。
プロ野球選手になれるのは年間100人程度。そして半数は数年でクビになる。
一方弁護士になるために必要な司法試験の合格者は年間2000人。
そこには20倍の窓口の差がそこにはある。
子供はプロ野球選手の日の当たる部分だけをみて「プロ野球選手を目指したい」と言っているだけかもしれない。
日の当たらない部分の情報を与えた上で、子供に判断させるべき。
そう思うんだよ。
子供はバカなわけじゃない。
判断能力がないわけじゃない。
持っている情報が少ないだけ。
おれは20歳そこそこの若い人が、現実を知って泣いている姿をもう見たくないよ。
頼むから全員やってくれ!