出向がある会社へ転職する注意と覚悟

今回は転職する上での注意点。
「出向がある会社に転職するときは気をつけよう」という内容。

出向とは「今の会社に在籍しながら、別の会社に行く」こと。

でも疑問に思いません?
「なぜ出向させるのか?会社にとって何のメリットがあるのか?」って。

もちろん会社側にメリットがある。
働く側にはメリットはあるパターンもデメリットがあるパターンもある。

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【出向パターン1】お客様企業へ労働力の提供

出向のパターンとして「お客様企業への労働力の提供」がある。
一言で説明すると「大切なお客様の人件費をこちらで、ある程度は負担しますから今後とも」ということ。

例えばモノづくりでは、下請けから元請けに出向することがある。
力関係では元請け側が強い。

下請けは他社に仕事が流れないように、自社の良さをアピールする。
「私の会社は商品も対応力もいいですよ」って。

そのアピールのひとつが「出向による労働力の提供」である。
元請けから見ると、下請けの環境で経験した労働力が安く使える。

 

この出向のパターンは「働く人にとってデメリットか?」と言われるとそうでもない。

元請けに出向させる人は、評価されている人が多い。
理由はお客様へ出向させるのに、ポンコツや人間関係を上手くやれそうもない人は選びにくいから。

元請けと人間関係を築くきっかけなり、仕事がやりやすくなる場合もある。
逆に人間関係が近いあまり、無理な仕事を要求されてしまう人もいる。

そこは駆け引き次第でメリットにもデメリットにもなる。

あと転職しないとなかなか見えない「元請けの仕事を知れる」というメリットもある。

 

【出向パターン2】他社に人件費の押し付け

パターン2として「人件費の押し付け」がある。
これは銀行や保険などの金融系に多い。

一言で説明すると「経営状態を改善したいから、立場が弱い会社へ出向させ、人件費を減らそう」ということ。
人件費を減らす目的だから、若い人ではなく中間から年配者が多い。

 

これは働く側にとっては良いか悪いか難しい。
それは「経営の目的で出向させられた」という面もあるが「経営悪化が続きリストラよりマシじゃね?」と言われてば、その通りだから。

但しこのパターンでは、出向した後に転籍が待っている可能性がある。
目的は「人件費の削減」なので、転籍させてしまえば負担がゼロ。

なので出向になると「あえて仕事の手を抜く」もいる。
出向先で「あいつ仕事できる?微妙だな」と思われると転籍を受け入れる側が拒否するから。

「仕事ができる」と思われると出向先もできるだけ長く居てほしい、と思うから出向が長引くことも。

 

ちなみに銀行・保険業の出向は全て「人件費の押し付け」ではないよ。
パターン1の「労働力の提供」もある。

但し会社はメリットがないとやらないので「出向先で金を借りるようにしろ」とか「出向先で他社に流れる保険を取ってこい」などの目的はある。

 

【出向パターン3】技術力の提供の目的

パターン3に「技術力の提供の目的」

例えば「今まで自社で作っていたモノを他社で作って下さい」と依頼するとき。
「作って下さい」と言ってもノウハウなしでは難しいこともある。

そんなときに技術提供や管理体制を作るために、製造系の技術者が出向になる。
この場合は転籍になることはない、とまで断定はできないが可能性は低い。

「経営目的や営業目的に利用された出向ではない」という意味では、働く側から見て納得感がある。

経営目的や営業目的では、出向の期間は延長されるか読みにくいが、目的が決まっている技術提供なら読みやすい。

 

出向の怖さは命令であること

ここでは出向の問題点を。
その問題点とは「出向は命令」であること。

就業規則に出向の規定が書いてあったら、個別の同意を得ることなく「命令」が出せる。

では、就業規則が見れるのはいつ?
私が何度か転職した経験では、入社の前に見れたことは一度もない。

つまり入社するまで分からず「後出しジャンケン」で出向の命令が出来てしまう。

しかも出向によって働く条件が悪くなる可能性もある。
私の知り合いでは、給料は変わらないが、休日を出向先に合わせるため、かなり減っていた。

なぜこんな問題が起きるのか?
それは「出向により労働条件の悪化を制限する法律がない」こと。

もちろん法律がなくても裁判すれば、勝てる可能性はある。
しかし逆に言えば、裁判しないと黒か白か分からない。

また、就業規則を渡すタイミングを示す法律もない。
就業規則には「働くためのルール」が書かれているが、それを知らないままに労働契約することが日本の常識になっている。

おかしいよね。

 

転職で出向の有無はどうやって確認するか?

転職のとき「その会社に出向の有無が分からない」という問題がある。
求人を見ても掲載はない。

そんなときは、ありきたりだけど面接のときに聞くしかない。

「失礼になるかも」と思ってしまう人もいるかもしれないが、そんなことはない。
会社側に騙す気がないなら、むしろ納得した上で入社した方が、早期退職がなく会社としても良いこと。

(面接官にとって肩身が狭いのは、入社したが『そんな話は聞いてない』『条件が違う』と退職されたとき)

もし「面接では心証が悪くなるかも」と気になる人は、内定が出た後に「ご確認させてよろしいですか?」と確認してほしい。

 

余談)コロナ禍で政府が出向に助成金をぶっこむ

最後にちょっと余談を。
コロナ禍になり「なんだこれ」と思った出向がある。
その名も「雇用シェア」。

 (下記は厚生労働省の資料

これは政府が税金(助成金)を出して推し進めている。
内容は「コロナで不景気になった会社が出向させると、出向前に払っていた給料の半分ぐらい助成金で払いますよ」というもの。

この雇用シェアをニュースでは「コロナ禍で雇用維持に貢献した」なんて書いてあるが、問題ありあり。

何が問題か?
それは前述の通り「就業規則に書いてあれば命令」できてしまうこと。
そして「まったく関係がない職業へ出向させてしまっている」こと。

今回のコロナでは、大きく落ち込んだ業界と、逆に忙しい業界に別れる。
例えば忙しいのはデリバリー系。

製造の仕事をしていた人が、デリバリーの仕事へ出向することもあり得る。
ニュースでも「日本航空(JAL)が雇用シェアを使って、食品工場で袋詰している」とか「福岡空港のスタッフは正月の人手不足に備えて巫女の研修」と書いてあった。

 

出向は命令ができ、全く関係がない職種でも構わないなら、「これって職業選択の自由ってあるの?」と疑問に思う。

職業選択の自由とは、自己の従事する職業を決定する自由

経営者だけではなく、働く人もお客が減れば肌で感じる。
そんな状況で「出向命令です。関係ない業種で働いて下さい」と言われて断れるだろうか?

また、これが許されると会社は退職させるため、嫌がらせとして出向が利用される可能性が十分ある。
極端なことを言えば「風俗に出向です」と退職させるとか。

それに出向者が女性に偏ってる可能性がある(ニュースで写真を見る限りは)。
もし合理的な理由がなく、女性に偏っているなら男女差別だよ。

 

出向に関して「どこまでが許さるのか?」という法律が、ぽっかり穴が空いている。
政府が出向に補助金を出して推奨するなら、せめて法律としてルールを決めないと・・・。

私は「このような出向が常態化するのでは?」と心配している。

平時でも経営が悪くなる会社は沢山ある。
そんなときに「出向を命令し、本人が望まない仕事をやらせれば退職すんじゃね?」みたいな使われ方。

つまり「出向を利用した事実上の退職促進」。
コロナでも「派遣という働き方の不安定さ」がクローズアップされて「これでいいのか?」と問題視されたが「もう味噌もクソも不安定」になると泣くのは働く人である。