この記事は2020年9月2日に書いたもの。
2020年はコロナによって景気が悪いニュースが並んでいる。
例えば
民間が試算した2020年4~6月の日本のGDPは戦後最悪の28.6%減少。
(2020年9月1日のニュース)
他にも
(2020年9月1日のニュース)
他にも
(2020年9月1日のニュース)
などなど。
転職を考えている人の立場に立つと・・・特に求人倍率や失業のニュースを見ると・・・暗い。
「気分が滅入るわ」と思っている人へ伝えたい。
ニュースに惑わされることなく、データを分析してみましょう。
求人倍率は確かに下がっているが
まずは求人倍率について。
求人倍率とは何か?
簡単にいうと「就職・転職のしやすさ」を表す数字。
計算式は「求人数/求職者数」になる。
例えば、2つの求人があり、1名の求職者がいた場合の求人倍率は2.0倍。
求職者は2つの求人から選ぶことができる。
逆に求人が1つしかないのに、求職者が2名いた場合の求人倍率は0.5倍。
2名うち1名は就職ができない。
つまり求人倍率は高いほど就職・転職しやすい状況と言える。
2019年1月~20207月の求人倍率を見てみると、2019年12月から一気に下落しているのが分かる。
最新である2020年7月の求人倍率は近年では最も悪い。
ではどれぐらい悪いのか?
2020年7月の求人倍率は、2014年とほぼ同じ。
上記のグラフの求人倍率は「全ての求人倍率」。
ここから「短期労働(臨時社員)」と「短時間労働(パート・バイトなど)」を除く求人倍率にすると・・・
すると2015年と現在の求人倍率と同じ。
ここから読み取れること。
「2015年から2019年に就職や転職した人から見ると、現状は厳しく感じる人が多い」
しかし「1997年~2015年に就職や転職を経験した人から見ると、現状は変わらない・もしくは現状の方がマシ」ということ。
失業者は確かに増えているが
次に見てほしいデータは「失業者の数」
ニュースでよく取り上げられるのは「非正規の失業者数」
下記のグラフは「非正規の雇用者数の推移」
2020年3月に雇用者が大きく減っているのが分かる。
前年同月で比較しても「2019年7月から、2020年7月の1年で131万人の減少」である。
つまり「それだけ失業した」ということ。
その内訳は
- パート51万人の減少
- バイト33万人の減少
- 派遣社員16万人の減少
- 契約社員19万人の減少
- 嘱託社員15万人の減少
- その他で3万人の減少
特に派遣については「過去最大の減少幅」らしい。
一方で正社員(正規)はどうなっているのか?
正社員の雇用者数は?
正社員(正規)の雇用者数を見てみると・・・
正社員は増えている。
しかも、前年同月比である2019年の7月と2020年7月を比較すると51万人も。
増えているということは、解雇された人数より、入社した人数が多いということ。
つまり正社員の雇用は悪くないので、正社員の転職を狙っている人は、現状それほど落ち込む状態ではない。
ニュースに惑わされずに
ニュースというのは「見てもらってなんぼ」のビジネス。
なのでショッキングなものや不安を煽ることが多い。
故意のデマはないだろうが、一部しか言わないというのはよくあること。
確実に言えるのは「2020年7月段階で正社員の求人は、2015年以前と比べて悪くはない」「2009年(リーマンショック)あたりや2000年前後の就職氷河期に比べるとだいぶ良い」。
しかし今後は分からない。
リーマンショックのときも最初に解雇されるのは、派遣やパートと呼ばれる人。
当時、非正規の求人が一気に減った。
その後にワンテンポ遅れて正社員の解雇があり「求人はマジでない」というぐらい減った。
今後は同じようになる可能性はある。
未来予測は難しいがニュースに惑わされずに、自分で求人を見て判断しよう。
そもそも転職とは、たった1社でも希望する求人があり、そこで採用を得られれば勝ち。