知り合いから「異業種転職を考えているんだけど、どこの業界がいいかな」と聞かれた。
これから伸びる業界というのは正直分からない。
スマートフォンのように一気に伸びる業界もある。
けど衰退する業界は分かる。
それは人口に大きく影響を受ける業界。
日本のこれからを考えると人口減少時代が始まる。
2000年から2020年までの20年は日本の人口はほぼ一定。
2020年から2040年までの20年は約1400万人も減る。
更に10年過ぎて2050年になると1億人を下回る。
これは日本は体験した事がない始めてのこと。
2020年で30歳以下の人は、2050年も現役で働いているだろう。
人口減少は多くの国内産業に影響を与えるが、その中でも大きな打撃を受けるのが、住宅業界や不動産業界。
現状でも空き家が多い日本
ニュースでたまーに「地方の空き家問題」という言葉を聞く。
しかし地方に住んでいてもピンとこない。
「一体どこに空き家があるんだろう」なんて思っていた。
それに気づいたのは車が故障したとき。
整備工場に代車がなく、ちょうどお盆休みだったので「まぁいいか」と車がない日を過ごした。
歩く生活になるとアパートの空き部屋の多さに驚く。
中には空いている部屋の方が多いアパートもある。
調べて見ると日本の空き家は毎年増えて、2018年には846万戸まで増えている。
今までの人口はほぼ一定だった。
しかしこれからは人口が減っていく。
これはずっと前から分かっていたが、それでも住宅数は増え続ける。
住宅なんてメンテすれば、70年80年使うことが当たり前。
30年前に作った建物は、30年後も現役として使える。
もう住宅は足りて余っているのに、それでも増え続ける理由は何だ?
空き部屋が埋まらないのにアパートが増えている理由
2008年あたりの話だが、友人が親の相続で土地を受け取った。
けど普通のサラリーマンをしている友人は、土地をもらっても使い道がない。
それをどこから嗅ぎ付けてきたのか、現れたのは大手の住宅メーカー。
その会社は「土地を有効活用しませんか?ほっといてももったいないですよ」とアパートを建てることを進められた。
その契約の中には「入所者がいなくても家賃を保証する」という内容もあった。
最初は新築だから満室になったが、5年、10年経つと空き部屋が目立つ。
すると当初予定されていた保証額の減額された。
ここには単純なロジックがあって「10年間家賃を保証する」とは言ったが「減額しないとは言ってないよね?」という子供みたいな言い訳が使われる。
しかも「嫌なら契約を解除する」という脅し文句も使う。
これで友人は土地と建物を手放すことになる。
これと同じようなことが地方都市のあちらこちらで起きている。
まぁ、法律上は詐欺にはならないだろうが、被害を受けた人の感覚で言うと詐欺だよね。
つまり詐欺まがい商法により、空き部屋が増えている。
普通のビジネス感覚を持っていれば、20年後の人口減少を考えると、新しいアパート・マンションは建てようとは思わないが、その感覚がない人もたくさんいる。
私が住宅産業を勧めない理由
私が住宅産業をオススメしない理由は2つ。
ひとつは人口減少の影響を大きく、産業全体から見ると縮小傾向だから。
物の価値は需要と供給で決まる。
需要が減れば、供給を高めるために、何かしらの施策を打たないといけない。
その施策でもっとも効果的なのが安く売ること。
アパートやマンションを建てた人は「誰にも借りてくれないなら、利益がなくても、むしろ元が取れなくても借りて欲しい」と思っている。
アパート・マンションの家賃が下がったときに、持ち家が欲しいと思う人がどれだけいるだろうか?
よく「自動車離れ」とか「テレビ離れ」とか聞くが、賃貸アパート家賃が値崩れしたら「持ち家離れ」も来る。
きっと倒産する会社も増えるだろうし、事業の縮小は逃れなれない。
ただ、これだけが理由でオススメしないわけじゃない。
住宅産業で生き残れる会社と厳しくなる会社
住宅産業で生き残れる会社は、「人口が集まる大都市に強い会社」と「海外進出」している会社。
では地方にあり海外に弱い会社はどうするのか?
それが前に述べた「先がないのにアパートが増え続ける理由」と同じ。
つまり儲からないのに「儲けませんか?」と騙し儲ける商売に走るしかない。
昔にお年寄りに布団を営業する仕事があった。
海外の羽毛布団で値段は高いが、物は悪くものではなかった。
それが羽毛布団が一般のお店でも流通すると、商売が成り立たなくなり、半ば騙し商売のように押し付けて売る営業マンが増えた。
個人向けの商売が終わりに向かうと、利益を無理に維持するために人を騙すようなことをしてしまう。
仕事ってそんなもん。
その業界の人も住宅産業で働いている人も「人を騙したい」なんて思ってないよ。
会社は上司にプレッシャーかけて、上司は部下にノルマ化して、いつの間にか恨まれる仕事になる。
では「プレッシャーをかける会社が悪か?」と言われるとそうとも言い切れない。
会社は利益の維持させないといけない。
維持できないならコストカットするしかない。
コストカットでもっとも効果が高いのはリストラ。
会社の社長は「リストラはしたくないな。申し訳ないな」という思いが強く、結果的にお客を騙すようなことをしてしまっている。
社員も徐々に変わるため気づかない人もいれば、売ることが正義と思っている人もいれば、気づいているが「いまさら転職?もういい歳なんだけど」と生活のため離れることできずにいる人もいる。
住宅産業はそうなる可能性が高いというか、もうそうなっている会社が多い。
大切なのはその仕事に「やりがいを感じるか?」って話。
働く人にとって大切なのは、業界の将来性もあるけど、こっちの話もとっても大切。
最悪はやりがいがなくても良いが「やってて嫌だな」って思う仕事は続かないよ。
どうせ転職するなら長く働ける仕事が良い。
「あ、給料高いからありだな」だけじゃなくて。