「転職サイトとハローワークと求人雑誌系では、どれを使った方が良いの?」という相談を受けた。
この相談を受けると決まって「全部、使った方が良いですよ」と答える。
転職で重要な事は、選択肢を増やすこと。
これは良い会社を探すということはもちろん、もし不採用になった場合に、他に応募したい会社があれば精神安定剤にもなる。
だから応募した会社の他に、最低もう1社の候補があることが望ましい。
そのためには、めんどうかもしれないがネット系の転職サイト・転職エージェントの他に、ハローワークも求人雑誌も目を通した方が良い。
今回はその中でもハローワークの窓口相談について。
何も知らずに窓口相談に行くと担当によっては危険なことがある。
しかしあまり知られていないが、他ではなかなか得られない情報が得られるというメリットもある。
今回は「ハローワークに相談するときの注意点と隠れたメリット」について書いていくよ。
ハローワークの求人票は多く内容が網羅されている
まずはハローワークの求人票の内容説明について。
もし「求人票を何度も見たことがあるから、内容は知っているよ」という人は読み飛ばして。
ハローワークの求人表は、実は転職サイトや転職エージェントが掲載している情報よりとても多い。
これは転職サイトや求人雑誌を利用する人にとっても「働く人は会社側に何を確認すれば良いのか?」の参考になる。
求人票は上記のような5ブロックでできている。
その内容は
(スマホの場合、表は横にスクロールします)
①求人事業所名 | |
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事業所名 | 会社名が記載 |
所在地 | 本社の記載 |
就業場所 | 実際に勤務する場所が記載されている。 所在地と異なる場合は支社か派遣。 |
②仕事の内容等 | |
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職種 | 職種、もしくは役職を記載(例:工場長) |
仕事の内容 | 仕事の内容、もしくは必要な経験を記載。 |
雇用形態 | 正社員、派遣、契約、パート等の記載 注意)「正社員候補」と書いてある、あやしい求人もある。 |
雇用期間 | 契約の更新が必要あるかないか |
学歴 | 応募対象になる必要な学歴 |
必要な経験 | 応募対象になる経験 |
必要な資格 | 応募対象になる資格 (「あれば尚可」と記載してある場合はなくても応募可能) |
年齢 | 応募対象になる年齢 |
③労働条件 | |
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賃金 | 基本給と手当が別けて記載 |
賃金形態 | 月給・日給・時給などで分かれている |
賃金締切日 賃金支払い日 | 給料の締め日と支払い日を記載 注意) 希に1か月程度、支払いが遅れる会社がある |
通勤手当 | 通勤手当が記載。上限がある場合は上限金額を記載 |
昇給 | 前年の昇給実績 |
賞与 | 前年のボーナス実績 |
加入保険 | 厚生年金や退職金などの社会保障の有無 |
就業時間 | フレックスタイムや交代制の記載もある |
休日 | 土日が休みか、平日休みか等の情報 休みの量は年間休日日数を確認した方が分かりやすい |
④会社の情報 | |
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従業員数 | 会社全体と勤め先になる従業員数を記載 また女性の人数も記載があり男女比率が分かる |
創業 | 創業した年を記載 |
資本金 | 資本の金額を記載 |
労働組合 | 労働組合の有無 |
事業内容 | 主体となる事業内容を記載 派遣会社かどうかはここで判別できる |
会社の特徴 | 会社のアピールポイント |
定年 | 定年の年齢や再雇用される年齢を記載 |
入居可能住宅 | 社宅の有無 |
利用可能託児施設 | 託児する施設の有無 |
育児・介護・ 看護休業 | 育児・介護・看護休暇を取った過去の実績 |
年間休日 | 年間の休日日数を記載 |
就業規則 | 就業規則の有無 |
⑤選考等 | |
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採用人数 | 採用される人数 |
選考方法 | 面接、筆記、書類選考などの選考方法を記載 |
応募書類 | 応募されるための必要書類 |
選考結果 | 選考される期限と結果の連絡方法 |
試用期間 | 試用期間の有無と試用期間中の労働条件 |
これだけのボリューム。
はっきり言って、転職サイトや転職エージェントの求人には、これだけの情報量はない。
もしかすると半分以下の情報かもしれない。
一番、丁寧で細かい求人はハローワークの求人。
個人的には、転職エージェントと対面するとき、確認内容はこの求人票を参考にしている。
もっと情報がほしいときは窓口相談するのだが・・・
ハローワークの求人票の内容は充実していると言ったが、もっと深い情報がほしい人もいる。
例えば仕事内容。
仕事内容は営業補佐とかいてあるが、補佐とは具体的にどんな内容なのか?お客さんのところへ行ったりするのか?それとも事務のような仕事なのか?とか。
求人募集のことであれば
今回の求人募集の目的はなに?とか。(退職者が出たため補填。新規事業所の設立、など)
働く条件に関しては
繁盛期と閑散期に残業の差はどれぐらいあるのか?最大で月の残業は何時間になるのか?とか。
こういった求人票にない情報も聞くことができる。
ただし、ハローワーク自体は、求人票に掲載がない情報は持っていない。
ではどうするのか?
それはその場で会社に電話されます。
ただ単に電話するだけだったら良いだけど・・・。
ハローワークの担当者によっては困らされる
ハローワークが会社に電話するとどうなるのか?
そのやり取りによっては、相談した側が困ることになる。
求職者「すいません、この求人でお聞きしたいのですが、残業時間は20時間と書いてありますが、繁盛期ではどれぐらいになるのか確認したいのですが」
ハローワーク担当者「はい、分かりました。少々お待ち下さい」
電話を取り番号を押し始める。
「もしもし、こちらハローワークですが、採用担当者の方お願いします」
「もしもし、こちらハローワークですが、求職中の27歳男性で営業経験が2年半の経験がある方が、目の前にいるのですが、質問よろしいですか?」
「残業時間は20時間程度と記載してありますが、繁盛期の残業時間はどれぐらいになりますか?」
「あー、そうですか、少々お待ちください」
(受話器を口元から遠ざけ、こちらを向いて)
「多い月で35時間程度とのことですが、どうします?応募されますか?断りますか?」
と突然、聞かれてしまう。
事前に「残業時間が35時間以内であれば応募しよう」と決めていれば良いのだが、「聞いた上で家で再検討しよう」と思っている人からすれば突然の出来事。
すぐに「応募します」とも「断ります」とも決断できないんだよね。
だからハローワークに相談するときは、予め決断しておく必要がある。
会社がどう回答した場合、応募するのか、断るのかを。
【憶測】なぜハローワークは決断を急がせるのか?
ここからは憶測だが、ハローワークの担当者はあえて求職者の性別、年齢、経験を伝えているんだと思う。
その理由は断りにくい状況を作るため。
ハローワーク側の立場に立つと、毎日たくさんの求職者が相談に来る。
ひとりひとりに時間を掛けていたら、いつになっても終わらない。
相談したく長い時間待っている人もいる。
だから、手短に終わらせるためにプレッシャーを与えてすぐに判断させたいのだろう。
その気持ちは分からなくはない。
しかしそういう気持ちは「自分の方向しか見ていない仕事のやり方」と言われかねないよね。
転職者の事を思うのであれば「その情報によってどうしたいのか?」を事前に確認するべきだよね。
もしかしたら失業保険を出さないように指示があるのでは?と勘ぐってしまう。
ハローワークに相談すると得られる有益な情報もある
あまり知られていなのだが、ハローワークの窓口だからこそ、得られる情報もある。
それは「採用の実績」と「不採用の実績」。
例えば
- どういう人が応募したのか?(年齢、性別、経験年数など)
- その人が採用になったか?不採用になったのか?もしくは転職者が断っているのか?
この情報はとてもありがたい。
今まで採用になった人、不採用になった人の概要が分かる。
それに照らし合わせて、自分がどうか?という推定ができる。
例えば「実務経験が3年以上と書いてあるが、経験が2年の人が内定をもらった」実績があれば、その会社は人手不足で困っている会社。
自分が実務経験2年しかなくても、応募できる可能性が高いし、自分がそれ以上の経験があれば採用される確率は高い、と推測できる。
その他にも
- 何人の人が応募して、採用された人数は何人か?(採用の確率)
などの情報もハローワークは持っている。
「10人の応募があって採用者がゼロ」という会社もある。
こういう会社はハローワーク特有の「カラ求人」の可能性がある。
カラ求人とは採用する気がないのに応募だけする求人のこと。
ハローワークは会社側も無料だから「とりあえず求人出しとけ」という会社がある。
カラ求人ではなくても、採用の難易度を測るため採用の確率は重要な情報である。
他にも
- 求人受付日より以前は求人があったのか?その時の採用状況は?
ハローワークには、いつ求人を受け付けたか?また期限はいつまでか?という情報が掲載されている。
この応募期限はあってないようなもので、人材が集まらなかったら、また新規求人として掲載される。
転職は新卒みたいに一括採用なんてないから、早いもの勝ちである。
もし本当に新着求人であれば、ライバルも狙っている可能性があるから、出来るだけ早く動いた方が良い。
しかしずっと同じ求人を出している会社は、第二候補、第三候補にしても、また求人が掲載される可能性が高い、と読むことができる。
(それでも採用が決まって募集が終了することがあるので、早めに動くに動いた方が良いが)
また
- 現在その会社に応募している人は何人いるのか?(ライバルの存在を確認)
も確認できる。
採用人数が2人に対して、20人も応募している会社もある。
その場合、2人採用されたとしても10人のライバルに勝たないとならない。
逆に現在の応募者がゼロの会社もある。
もし良い求人で応募者がゼロの会社があればラッキー。
ライバル不在の状況で「どちらの転職者が良いか?」ではなく「その人が適応できそうか?」という目線で見られるため、採用の確率は上がる。
また、これらの情報はハローワーク内のデータを見れば分かることであり会社に確認しない。
こういうメリットもある。
しかし念のために「ハローワークで分かる情報があれば教えて欲しいのですが」という前置きをして、これらの情報を聞いた方がいいよ。
ハローワークは国の機関。うまく使い倒せ
ハローワークが存在する目的は、失業者を減らすこと。
しかし在籍中の人でも「求人票を見たい」「求人の中身で相談がある」と言えば、相談に乗ってくれる。
で、あれば上手に使ったもの勝ち。
色んな情報を手に入れて「やるだけやった」と思える転職を目指してほしい。
メモ用にハローワークで聞けることの一覧はこちら。
- どういう人が応募したのか?(年齢、性別、経験年数など)
- その人が採用になったか?不採用になったのか?もしくは転職者が断っているのか?
- 何人の人が応募して、採用された人数は何人か?(採用の確率)
- 求人受付日より以前は求人があったのか?その時の採用状況は?
- 現在その会社に応募している人は何人いるのか?(ライバルの存在を確認)
この情報が欲しい、思うものがあれば確認してみてほしい。
個人的には転職サイトや転職エージェントで見つけた会社でもハローワークに求人があるか、探しているよ。
あったらラッキーで、情報を聞き出せるからね。
ただし、当たり前だけど転職サイト経由で応募した情報はないが。
おさらい
- 転職はできるだけ多くの求人を確認しよう。
- ハローワークは失業中、就職中に関わらずどんどん利用しよう。
- 転職は情報量の差が明暗を分ける。