誰だって条件の良い会社に行きたいが、そもそも理想と思える会社なんてほとんどない。
あっても1社か2社か。
もちろん数少ない会社に採用が決まれば良いのだが、思うようには上手くいかないもの。
これには理由があって「あなたが良いと思えた希望の会社は、他の人も同じように考え競争倍率が高くなる」からなんだよ。
すると第一希望の会社ではなく、第二・第三・第四・・・と希望を落としていく。
皆さんはこの希望の順番を間違えてはいませんか?
中には「突如として希望していない会社に入社する」おかしな行動に出る人がいる。
こういう人は転職の「負のループ」に迷い込んだ人。
そして負のループに抜け出すことができない人は・・・転職を後悔することになる。
抜け出せ。転職における負のループ
転職には「負のループ」という言葉がある。
これって誰しもがハマりやすいこんなパターン。
転職を決意し転職サイトやハローワークの求人情報を眺める日々。
いろんな会社を見ていると「この会社なら悪くないな」と思える求人に出会う。
その会社をベースに他の企業と比較する。
ホームページを見たり、ネットでその会社の事業内容の詳細を知ると、だんだん「この会社なら行きたい」と思い始める。
必死に職務経歴書を作り応募する。
書類選考は時間がかかるから、この間に面接のシュミレーションをする。
しかしその会社は競争倍率が高く不採用。
不採用通知を見るとやっぱりショック。
頭では「会社なんて山のようにある」「学生の入試みたいに1年間遅れるわけじゃない」と理解していてもショック。
そして第2希望の会社を応募するも不採用。
人に相談すると「はぁ?今の時代、2社連続で不採用って普通じゃない?」と言われても普通にショック。
そうするとだんだん気持ちに変化が現れる。
それは「良い会社に入りたい」という気持ちから「早く転職活動を終えて楽になりたい」に。
これを繰り返すとそのうちに「どこでも良いから内定をもらって安心したい」に変わる。
この心境が変化が負のループ。
これってとても怖いんだよ。
なんせ転職の目的が「良い会社に行きたい」ではなく「内定をもらいたい」に変わってしまう瞬間。
こんな時には、自分を客観点に見ることが大切。
転職の最初の作業は希望と妥協点の明確化
この負のループに迷い込まないために必要なのが、自分なりの基準作り。
誰もが希望と妥協できる限界ってあると思うんだ。
それを一覧にする。
具体的にはこんな表。
項目 | 希望(目標) | 妥協ライン |
職種・業種 | ・法人営業 ・WEB系の広告代理店が 第一希望 | 人材系・ITシステム・ インターネット関連 |
雇用形態 | 正社員 | 希望と同じ |
給料 | 26万円以上 | 21万円 |
勤務地 | 50km内 | 通勤時間1時間以内 (県内はどこでも可) |
休日日数 | 115日以上 | 108日 |
残業時間 | 月に25時間以下 (一日、1~2時間程度) | 月に60時間以下 |
転勤の有無 | 転勤なし | 一時的(数年間)の 転勤なら可 |
この表は左から「会社の条件(項目)」「希望(目標)」そして「妥協するライン」になっている。
項目は人によっては、増えたり減ったりすると思う。
項目が決まったら、次は希望(目標)を決める。
これも結構大変で、適当に希望を埋めても意味がない。
というのも職種や土地柄によって、現実的に希望できる上限って決まってしまうんだよ。
友人が給料が30万円だから「オレも30万円欲しい」と希望しても意味がない。
つまり希望を埋めるためには、その土地・その職種の求人を見て「これぐらいなら狙える」というラインを知る必要が
ある。(これが業界を知る勉強にもなる)
希望の部分が埋まったら次は妥協ラインを決める。
これは前職の条件・将来的なこと・生活を考えて「自分ならどこまでが許せる限界か?」を決める。
はい、これで完成ではなくて本番はここから。
次は「希望の理由」と「妥協の理由」という欄を作って内容を書き加える。
具体的にはこんな感じ。
項目 | 希望(目標) | 希望の理由 | 妥協ライン | 妥協の理由 |
職種・業種 | ・法人営業 ・WEB系の広告代理店が第一希望 | 独立性が高く前職の スキルも活かせる。 | 人材系・ITシステム・ インターネット関連 | 妥協しても将来的に 独立が可能な職種にする |
雇用形態 | 正社員 | 将来性を考える | 希望と同じ | これは譲れない |
給料 | 26万円以上 | 前職より給料UPさせたい | 21万円 | おそらく今の生活を 維持できるギリギリのライン |
勤務地 | 50km内 | 親が体調を考えると いつでも行ける距離が理想 | 通勤時間1時間以内 (県内はどこでも可) | 通勤が1時間が限界 (但し残業によっては若干増えても可) |
休日日数 | 115日以上 | 現在とほぼ同じ | 108日 | 業界的には休日日数が少ないので |
残業時間 | 月に25時間以下 (一日、1~2時間程度) | 理想的な働き方 | 月に60時間以下 | 将来的にできるライン 以上にはしない |
転勤の有無 | 転勤なし | 親の体調を考えると厳しい | 一時的(数年間)の転勤なら可 | 但し片親になったときに Uターンを認めてくれる会社のみ |
(この表は横にスライドします)
ちなみに内容に関しては、例としてパパっと作っただけだから、できたらもっと具体的に書いてくれ。
真剣にやると1時間ぐらいでは終わらないと思う。
そして最後。
最後はこの項目に対して、優先順位を決めていく。
こんな感じに。
項目 | 希望(目標) | 希望の理由 | 妥協ライン | 妥協の理由 | 優先順位 |
職種・業種 | ・法人営業 ・WEB系の広告代理店が第一希望 | 独立性が高く前職の スキルも活かせる。 | 人材系・ITシステム・ インターネット関連 | 妥協しても将来的に 独立が可能な職種にする | 1位 |
雇用形態 | 正社員 | 将来性を考える | 希望と同じ | これは譲れない | 2位 |
給料 | 26万円以上 | 前職より給料UPさせたい | 21万円 | おそらく今の生活を 維持できるギリギリのライン | 5位 |
勤務地 | 50km内 | 親が体調を考えると いつでも行ける距離が理想 | 通勤時間1時間以内 (県内はどこでも可) | 通勤が1時間が限界 (但し残業によっては若干増えても可) | 3位 |
休日日数 | 115日以上 | 現在とほぼ同じ | 108日 | 業界的には休日日数が少ないので | 6位 |
残業時間 | 月に25時間以下 (一日、1~2時間程度) | 理想的な働き方 | 月に60時間以下 | 将来的にできるライン 以上にはしない | 7位 |
転勤の有無 | 転勤なし | 親の体調を考えると厳しい。 | 一時的(数年間)の転勤なら可 | 但し片親になったときに Uターンを認めてくれる会社のみ | 4位 |
(この表は横にスライドします)
この優先順位が、迷ったり悩んだ時に活きてくる。
というのも、現実には思いもしない求人がある。
例えば、仕事の内容もその他の条件も完璧だけど、休日日数だけが3日足りないってケース。
「はたしてオレは、この項目をどれぐらい重要視していたのだろう・・・」という感じで。
その優先順位を見ながら考える。
「この妥協ラインを下回っても、その会社に入社したい理由があるか?」って。
そこで「ある」と思えば応募すれば良いし、「なし」と思えばキレイに忘れれば良い。
つまり妥協ラインですら、優先順位が低い場合は柔軟に考える。
この表を頭の中でできれば一番良いだよね。
けど、これがメンタルがやられ出すと正常にできないもの。
不採用が連続すると「この転職活動はいつ終わるのか?」なんて思えてくる。
特に仕事をしながらの人は時間のゆとりもなく、睡眠不足にもなるし、ストレスを抜く時間も作れない。
それが3ヶ月も続くと不安になってくる。
人って不安だと「一秒でも早く抜け出して安心したい」と思って当たり前。
そんな心理状態だと最初に思っていた希望や妥協ラインなんてふっとんでしまう。
だからエクセルでも広告の裏紙でもいいから、残して後で見返せるようにした方が良い。
優先順位の第一位は絶対に妥協点を譲ってはいけない
この妥協ラインを絶対に譲ってはいけない項目もある。
それは優先順位の1位の項目。
これだけは何があっても譲ってはいけない。
皆さんは気軽に会社を辞めた訳じゃないと思う。
きっと何かを変えたくて、思い切った決断をしたんだろう。
では、変えたい部分ってどこ?
これが転職の目的であり動機になる。
その目的はきっと優先順位の1番になっているよ。
この1番を譲るって事は、そもそも転職した目的を失うと同じ意味。
その時点で、転職は失敗したと同じだよ。
優先順位が低くても譲ってはいけないパターン
ここからは体験談ね。
実際に転職するときに上のような表を作ったわけ。
その時に見つかった求人は、ほとんどの項目が希望に近かった。
特にボーナスが高くて年間で5倍ぐらいだった。
その会社は見事、内定をもらうことができた。
で、こっちが内定の返事をする時に「一度、お会いして話をさせてくれませんか?」って感じに願いでたのよ。
というのも過去に痛い目を見ているから「内定の返事は慎重に」って思っていたからさ。
で、打合せを行った時に聞いてみた。
「御社って業界の水準よりボーナスが高めですよね。ずっとこんな高い水準を維持しているのですか?」って。
この質問は何か疑っていたわけじゃなく、ただ単に興味本位で聞いてみただけ。
その返事は「いや。実はさ。うちは基本給は高くないんだよ」だった。
この言葉だけ聞いても意味が分からない人もいるだろう。
普通の会社って「基本給20万+職務手当2万」とかでしょ?
そうするとボーナスって基本給20万X5.0で、100万円になる。
けど、この会社は「基本給が12万+職務手当10万」だったのよ。
つまり、おれは年間でボーナスは100万円ぐらいだと思っていたら、本当は基本給12万X5.0で60万円。
この60万という数字は、自分が決めた妥協ラインより上だった。
これで迷うことになる。
「妥協ラインより上ならいいじゃん」って言う自分と「騙されてんだよ。いいの?」という自分でケンカしたのよ。
ましてや転職でヘトヘトになって「楽になりたい」とも思っていたし。
で、結果的には、悩んだ挙句に内定を辞退した。
やっぱり求人の段階でウソを付く会社を信じる事ができるのか?って考えて「できません」という結論に至った。
それに加えて、最後はもう意地というかプライドの問題。
転職する人って苦しんでいる人が多い。
その弱みに付け込んで騙そうとしている人に対して、まだオレはシッポ振るのか?
弱い働く立場であっても、そこでシッポを立てる事ができるのか?
ちなみにオレは過去にはシッポを振った事もあるよ。
けど、後々になって後悔した。
だから「妥協ラインを全てクリアーしたら、何でもいいじゃん」は危険だよってことも覚えておいてくれ。
おさらい
- 転職を決断したら早い段階で、希望と妥協のラインを探せ
- 迷った時、悩んだ時は、自分が作った希望と妥協を見返せ
- 転職の動機となる部分は妥協してはいけない
- 妥協ラインを超えても、意地を見せて辞退しなきゃならん時もある。