初めて転職エージェントのホームページを見た時に思ったこと。
それは「非公開求人とはなんぞや?」
非公開求人って初めは「会員登録をさせるためにあるのだろう」って思っていた。
登録して気づく。
登録しても非公開のままであり見れないことを。
どうやれば非公開求人にたどり着けるのか?
と言うか、そもそも非公開求人って何のためにあるのさ?
初めて転職エージェントを利用する人は当然の疑問。
今回は
- 非公開求人を見るためにはどうすれば良いか?
- そもそも非公開求人の必要性の「建前編」と「本音」
について書いていくよ。
非公開求人を見るためにはどうすれば良い?
まず大前提として、非公開求人は会員登録しようしまいが、見ることはできない。
ではどうやって非公開の求人は見ることができるのか?
それは転職エージェントの担当者と接触すること。
転職エージェントって登録するのが大変なんだよね。
それは名前や住所の基本情報だけではなく、「職務経歴」や「自己PR」や「希望の職種」を書く必要がある。
つまり履歴書と職務経歴書に書く内容が全て入力することになる。
(これを転職エージェントの世界では、なぜか英語でレジュメ(Resume=履歴書)と呼んでいる)
なぜそこまで詳細の情報を出さなきゃならんのか?
それはこのレジュメを見て、転職エージェントの担当は非公開求人をピックアップしてくる。
このピックアップというのがキモ。
そう、担当者と会ったところで全ての非公開求人を見せてくれる訳ではない。
見せてくれる非公開求人の量は、人(転職者)によって違う。
これを転職エージェントはマッチッグサービスと呼ぶ。
非公開求人が必要な理由。建前編
非公開求人がなぜ必要なのか?
これには3つの理由があると転職エージェントのホームページに書いてある。
- 人気企業の応募殺到を防ぐため
- 競合他社へ新規事業計画の情報漏えい防止
- 急ぎの求人であり効率的な採用活動
なるほどー。
そんな理由があったのかと、納得してしまいそうだが、実はこの理由は建前にすぎない。
転職エージェントを利用している会社は応募が殺到しても困らない件
転職エージェントって昔からあると思っている人もいるが、実は転職エージェントってここ15年前にできたばかり。
それまでは転職サイト(求人サイト)しかなかった。
転職サイトは、新聞の折り込み求人や求人雑誌と変わらない。
求人の内容を見て、転職希望者が会社を探して応募する。
あくまでも転職サイトは、ネット上に求人の広告を出しているにすぎない。
ここで問題が発生した。
それは有名企業への応募が殺到し、人事部では処理しきれなくなった。
インターネットは一瞬で全国に情報が飛ぶから、求人雑誌や折り込み求人と見ている人とは桁が違う。
紙媒体からネットに変わったことで、人気企業には集中してたくさんの応募が寄せられるようになった。
人事部は困ってしまったわけ。
実はこの問題は新卒採用でも同じ問題を抱えている。
新卒でも有名企業にはたくさんの応募が来る。
処理ができないもんだから学校の偏差値を見て、偏差値○○以下は不採用という「足切り」と呼ばれる作業をしている。
会社は企業理念で「社員ひとりひとりの個性を尊重し」なんて言っているものの、実際には個性を無視して学力のみでバッサリ不採用にしているのが現状。
それは言動不一致の問題はあるが、平均を見ればやっぱり学力が高い方が優秀なんだろう。
合理的と言えば合理的。
けど、転職者は採用・不採用の判断が難しい。
転職は「他社で学んだ知識や経験をうちの会社に持って来い!」が基本だから、数字化するのが困難。
なのに有名企業にはたくさんの応募がある。
そこで登場したのが転職エージェント。
転職エージェントは「おたくの人事部は限界っしょ?だったら我が社が、ある程度良い人材かを判断しまっせ」がきっかけできた職業。
「困っている人いれば仕事になるが商売の基本」と言われるが、まさしくその通りだよね。
つまり転職エージェントは会社から見ると人事部の外注化なんだ。
とういことは・・・だよ。
求人を公開し応募が殺到すると困るのは、求人募集した会社ではない。
転職エージェントが困るだけ。
よって「人気企業の応募殺到を防ぐため」というのは半分正解で半分は不正解。
正しく言うと「人気企業を公開すると転職エージェントの仕事量が増え大変になるから」なんだ。
非公開求人にしても情報漏えい防止にはならない件
非公開求人が必要な理由の2つ目。
求人を公開してしまうとライバル他社に情報が漏れてしまう問題。
確かに転職者の求人には「○○の実務経験者」なんて募集要項に書いてある。
仕事の内容も大ざっぱには書いてある。
それを他の会社の人が見たら「なに?あの会社がこの業界に参入するのか!」と思うのかもしれない。
情報漏えいのピンチ。
けどそれって本当にピンチなのだろか?
例えばトヨタ自動車がバイクを作ろうとしたとする。
トヨタは自分たちでバイクを作ったことがないから、即戦力となる「バイク設計者・製造者募集」という求人を出すだろう。
世間には「あのトヨタがバイクを作るのか!」ってバレてニュースになる。
で?・・・これのなにが悪いのさ?
トヨタから見るとCM広告費を使わずに、ニュースとして世間に知らせてくれるんだよ。
実にありがたい話。
ましてや、やるかやらないか悩んでいる段階じゃなく、求人まで踏み切っているってことは本気だってこと。
広告費を抑えて、たくさんの情報を発信したいと企業は多くても、新規事業を立ち上げるのに情報発信したくない企業なんてあるのか?
中には特殊な事情を抱えて、絶対に世間には知られたくない情報もあるかもしれん。
けど、その場合は転職エージェントにも絶対に言ってはいけない。
オレが転職者のふりして転職エージェントと会えば、情報はダダ漏れなのだから。
つまり会社が本当にバレたくない情報は非公開求人だろうが、情報をもらしてはいけないってこと。
急ぎで効率的な採用活動したいから非公開求人?
非公開求人が必要な理由でもっとも納得がいかないのは「急いで効率の良い方法で募集したい」
転職サイトで求人を掲載したいと思ったら何日で求人が掲載されるか知ってる?
だいたい2週間ぐらい。
だから多くの転職サイトは、週に2回も新着の求人を更新している。
早ければ求人が掲載された週には応募があるんだ。(実際に勤めている会社にはすぐに応募があった)
それ以上のスピードを求める理由って何?
ありえるとすれば退職率がひどい会社だよ。
ましてや良い人材を確保したかったら、情報公開して多くの応募者から選んだ方が効率が良いのは明らか。
誰でも良いのであれば、話は別だけどさ。
本当に非公開求人の方が効率が良いのであれば、求人を公開している会社が存在している理由はなに?
説明できんよ。
非公開求人が必要な本当の理由とは?【本音編】
本当に求人を非公開にしなければならない事情もある。
例えばリストラ屋と呼ばれる人事部を募集する場合。
通常の人事部であれば、公開求人になってもなんら問題はない。
けどリストラ屋と呼ばれる人は普通の人事部と必要な能力が違う。
リストラ屋は労働基準法に違反しないようにギリギリのラインを狙い、合法的に解雇する能力が求められる。
つまり反発する社員がいたら、ネチネチと退職に追い込むってこと。
退職させられる社員は生活費がかかっているから、恨まれることもあるだろう。
恨まれようが腐されようが、打ち勝つメンタルが必要になる。
これって普通の人事部とまったく違う仕事だよね。
募集要項には「人員削減の経験者」になるわけだ。
これって普通に一般募集なんて出来ないよ。
社員にバレたらモチベーションが低下する。
会社にとって辞めて欲しくない人まで、退職してしまうかもしれない。
つまり本当に非公開にすべき求人は、ライバル企業への情報流出ではなく、社内への情報流出。
こういうケースは非公開求人が必要なる。
人事部を希望し、人員削減の実績がないとたどり着けない求人。
しかもリストラ屋と呼ばれる人は、リストラが終わったら退職する運命を背負う渡り鳥。
いずれ転職しなければならない立場であり、信用問題になるから口が固い人が揃う。
滅多なことがなければ、情報は流出しないだろう。
非公開求人が必要な本当の理由とは?その2
例えばオレが転職エージェントの営業をやっていたとする。
多くの会社を訪問して、新規の求人募集する会社を見つけ契約を結ばないとならん。
当然ノルマもある。
でも無作為に会社に連絡しても「今は求人募集していません」と断られるだけ。
「どっかに求人を出したい会社ないかなぁ」って思うだろう。
どうやって人が欲しいと思っている会社を探すのが効率が良いか?
それは転職サイトを見るのが手っ取り早い。
転職サイトに掲載されているってことは、広告費を払ってまで、転職者が欲しいってことだよね。
つまり需要は必ずある。
これは他の営業でも同じ事が言える。
例えば新聞の営業。
新聞をすでに購読している人と、新聞を取ってない人に営業するのはどちらが成功率が高いか?
普通は新聞をすでに購読しているってことは、もう他社に取られているからハードルが高いって思ってしまう。
けど実際は逆。
新聞を取ってない人は、そもそも新聞に興味がない人。
興味がない人には、まず興味を持ってもらうことからスタートしなければならない。
これってとても大変。
まず話を聞いてもらえず門前払い。
けど新聞をすでに読んでいる人は、新聞には興味があり、必要としている人。
こんな人には我が社の方がメリットがあることを示せば良いから、まだ成約の可能性が残されている。
だから新聞の営業は他社と契約がある人に営業した方が楽。
転職の求人を集め方も一緒。
人手が足りている会社に求人募集してもらうより、既に他社で求人広告だしている会社に営業した方が成約する可能性が高いってこと。
つまり非公開求人とは、他の転職業界のライバルに求人を持っていかれないための防衛策。
転職エージェントに利用されんな!利用しろ
ここまで非公開求人の本音と建前を言ってきたけど、だからと言って「転職エージェントは使うな」という意味じゃないよ。
現実として転職エージェントは沢山の求人を抱えている。
できるだけ多くの求人の中からチョイスした方が、良い会社に出会えるチャンスも増える。
だから非公開求人を引き出せるようにしないとならんわけ。
転職エージェントから非公開求人を奪い取れ
ではでは、非公開求人を見るためにはどうすれば良いのか?
その対策は2つ。
ひとつは、自分のやりたい仕事を明確に具体的にすること。
一番良くないのは「どの職種にしようか迷っています」状態。
こんな人を転職エージェントはどう見るのか?
それは「こりゃ採用になるまで先が長いわ」って思われる。
けど転職エージェントにはノルマがあり、普通の営業と変わらない。
そうすると適当な求人を見けて「この求人は人気があるんですよ」とか「応募期限があと1週間しかないから急いだ方が良いです」なんて言葉を使う。
意思が弱そうな人には、押せ押せ営業で適当な求人を当てられるぞ。
これじゃ他に見せない非公開求人にはたどり着けない。
「自分のやりたい仕事はこれ!しかも転職する給料や待遇の条件はこれ!」とはっきり伝えること。
最初に決めた希望を譲ってはいけないって意味じゃないよ。
非公開求人を引き出したら、どこまで譲れるか?は各自で検討してほしい。
二つ目は、転職に対して、仕事に対してやる気を見せること。
ありきたりだけど重要だよ。
転職エージェントに「会社から言われている応募要件にちょっと満たないが、コイツなら採用取ってくるかも」と思わせたら、普段は見せない求人も出してくるもの。
逆にやる気が無さそうに見えたら「せっかく営業頑張って求人を取ってきたのに、コイツを紹介したら次はないかも」と思われると紹介されないどころか、相手にもされない。
相手はビジネスとして臨んでくる。
こっちは人生を変える転機としてしっかりと臨まないとね。
皆さんには出来るだけ多くの求人と出会い、自分が納得できる転職を目指してほしい。
おさらい
- 転職エージェントが言う非公開求人の理由は建前だ
- 転職とは出会いが大切。多くの求人から良い選択をしよう。
- 出来るだけ非公開求人を引き出すためは、自分の希望をしっかり伝え、やる気をいかに見せれるかが重要。