「ハローワークはブラック企業ばかりだ。」
インターネットではそんな情報を目にする。
そしてネット上には悲惨な体験談も書かれている。
例えば
「給料が異常に低い求人があり驚いた!」
「残業が月に40時間以下って書いてあるのに、実際には80時間。ハローワークはちゃんと管理してんのか!」
って。
確かに自分もハローワークに行くと、給料が安い求人を目にする。
中には本当に最低賃金を下回ってないか?と疑いたくなる求人もある。
残業時間は特に偽りの求人があるのも本当の話。
実際に自分が勤めた会社でも「残業時間:40時間/月」と書かれていたが、実際には100時間の残業をしていた。
この求人はハローワークで見つけて入社した会社。
やっぱりハローワークにはブラック企業が多いのか?
ネットにある批判の結論としては 「ハローハックはブラック企業ばかり」だから「転職サイト・転職エージェントが良い」という風に書いてある。
「ハローワークがダメだから転職サイトが良い」
この言葉の意味が正直良く分からん。
片方がダメ、だからもう片方は良い、となぜ言えるのか?
太郎君と次郎君がいて、太郎君がブサイクならば次郎君はイケメンなのか?
いやいや、両方ブサイクな可能性はあるだろう。
ハローワークに批判が集まる理由
なぜハローワークに批判の声が強いのか?
それはハローワークで働く人は、公務員だからだと思うんだ。
しかも厚生労働省の管轄の公務員。
企業に法律を守らせる労働基準監督署も厚生労働省の管轄。
つまり「法律を守らせる所」と「法律を守ってない会社を紹介している所」が同じ管轄となんだよね。
例えるなら、警察がオススメしてきたセキュリティ会社が泥棒だったみたいなもの。
「ふざけんな」って言いたくなる気持ちは分かる。
(ごめん。ちょっと例えが悪いかな)
けど冷静になって考えてくれ。
世の中に労働基準法を完璧に守っている会社が何社あんのよ?
形式上は法律を守っている会社はあるけど、内部事情を暴露されたら、世の中の8割以上の会社はアウトだと思っている。
もしかしたら9割を超えるかも。
労働基準法と道路交通法は「守られない法律」と言う人もいるぐらい。
つまりハローワークが「法律を守らない、もしくはグレーな会社は求人を掲載しない」と断言したら、掲載できる求人はほとんど無くなる。
掲載できる求人がないのに、ハローワークで働いている人がいる方が腹が立つ。
法律を守っていればブラックじゃない?冗談だろ?
そもそも法律を守っていればブラック企業じゃないのか?
いやいやそんなことはない。
例えば「残業時間は月に40時間まで」という言葉を聞いたことある人も多いだろう。
これはサブロク協定といって、労働基準法36条に「原則として1ヶ月の残業は40時間まで」と書いてあることからきている。
しかし労使交渉して申請すれば青天井となるので意味がない法律。
実際に年間の残業時間が1500時間の申請し許可をもらった会社もあるぐらいだよ。
月に換算すると125時間の残業だよ。
この会社はまったく法律違反じゃない。
今も労働基準法は改定されようとしていて、一部の業界は月の残業時間を100時間まで認める動きなんだ。
残業の上限は単月で100時間。
複数月平均で80時間(年間6ヶ月まで)になる。
中小企業の場合は2020年4月から施行
100時間っすよ100時間。
残業100時間の経験がある人は分かってくれると思うが、人が人らしく生活するのは本当にギリギリのラインが100時間。
これ以上は睡眠時間以外に削れるものがなくなる。
この100時間残業を認めるように言っているのは経団連。
たまにニュースで経団連のおっさんが話しているのをテレビで見た人もいるだろう。
経団連は多くの企業が集まって、政治家に要望する団体。
簡単に言うと会社の労働組合みたいなもの。
そこに集まっている会社はどんな会社か?
それはあなたが日本の大手企業だと思う企業は全部入っている、と思うよ。
(気になる人は「経団連 一覧」で検索してみて)
法律を守っているブラック企業も沢山あるってこと。
ハローワークが頑張って法律を守る会社を選定しても、ブラック企業はブラック企業のまま。
私たちが思ってるブラック企業とは、ブラック法律が生んでいることもある。
またサービス残業とかも実は同じだったりする。
サービズ残業は違法。
違法なのだが守らない会社は山のようにある。
なぜそんな社会になっているのか?というと実は各会社の問題というより法律の問題。
規制するために法律はあるのだが、その罰則が明らかにユルユルで「法律違反の方が得じゃん」という状況を作っている法律が悪いんだよ。
もし「サービス残業させた会社は罰金として売上の10%」という法律ができれば、すぐになくなるんだよ。
転職サイトにブラック企業は存在しないの?
目線を変えて次は転職サイト。
転職サイトにはブラック企業は存在しないのだろうか?
ブラック企業の定義は難しいけど、少なくても従業員が過労死している会社は完全なブラックだよね?
最近では電通という会社に勤めている女性が過労死したニュースが大きく取り上げられた。
じゃ、電通の求人は転職サイトにないのか?
答えはあるよ。
電通なんて大企業がハローワークだけじゃ欲しい人材が集まらんよ。
確かにハローワークの審査はザル。
会社が「ちゃんと法律守ってますよ」と形式を整えれば求人は掲載される。
けど転職サイトは「お金払うから求人載せて」と企業に言われて「御社はブラックだから金もらっても無理」と言うかね?
「ブラック企業を紹介すると我社に登録して頂いた転職者がお困りになる」と思うかね?
転職サイトはひとつの民間企業。
その民間企業に他社の内部の情報まで入手する力なんてない。
ブラック企業を作るのは結局は働く人
ブラック企業は出来るなら無くなってほしい。
過労死させる会社もパワハラで精神的に病んでしまう人もいない世の中を望む。
でもなくならない。
ニュースで騒がれても無くならない。
なぜだろう?
一番の原因はブラック企業でも、辞めない人が多いからだよね。
会社もなんて一番末端で働くプレイヤーがいなかったらお金は生み出せるはずもなく、管理職の頭数を並べても一円も稼げない。
世の中、良い商品は売れて悪い商品は消えるのが当たり前。
利益を上げる会社は残り、利益が生めない会社は倒産する。
ここはきちんと市場原理が働くのに、なぜか労働環境が悪い会社には人が消えずに残る。
それだけ転職という壁は高いってみなさんが思い込んでいるんだよね。
だから低学歴のおれでも転職はできるチャンスが生まれるだけど。
ブラック企業を作るのは、結局ブラック企業で働く人が辞めないからなんだよ。
転職者にとってブラック企業が多い少ないは関係ない
ハローワークと転職サイトではどちらがブラック企業が多いか?という問題は転職者にとってはどうでも良い話だと思わないか?
自分がブラック企業を避ける事が出来れば問題がないのだから。
それに対する完璧な対策なんて存在しない。
じゃどうするか?
それは
- 自分の足で出来るだけ多くの会社を調べること
- 出来るだけ多くの企業からチョイスすること。
例えば残業に関しては調べるのはあまり難しくない。
入社前に会社を偵察に行けば、おおよそ残業量は検討がつく。
実際に自分が転職するときは、必ず足を運んで見ているよ。
転職先の内部事情を知りたかったら、直接勤めている社員に聞くと話が早い。
世の中、良い人も悪い人もいて、真剣に話すと親身になってくれる人もいるもんだよ。
詳細:転職は会社選びが最重要。転職先の会社を調査する奥の手【体験談】
そうすれば「ブラック企業に行くことはない」とは言えないが「可能性は減らせる」
ハローワークを利用しても、転職サイトを利用してもブラック企業はあるのだから、結局は自力で調べるしかないんだ。
そして可能性を出来るだけ小さくするためには、多くの企業と出会う事。
2つの会社から良い方を選ぶのと、10社から良い会社を選ぶのでは、やっぱり選択肢が多い方が良い。
転職サイトも転職エージェントもハローワークも求人広告も全て転職するためのツール。
所詮はツールでしかないないのだから、多くの手段を効率よく使うべきだよ。