学生のときや20代の頃はフレックスタイム制の会社で働く人がうらやましかった。
どうせ転職するなら、フレックスタイム制を導入している会社が良い。
何がうらやましいって、朝が遅く出勤しても誰にも怒られることがない。
早く帰りたい日は、早く出勤して17時前に帰宅することもできる。
自分がフレックスタイム制の会社に入ったらどうしようかな?
やっぱり、早く帰りたいから朝早く出勤しようかな。
早く帰ったら趣味もできる。
家族ともゆっくり過ごせる。
ゲームもできる。
朝が弱い人は、遅く出勤することもできる。
まさに天国のような環境。
そんな風に思っていたんだ。
学生や20代の頃はね。
でも現実は違ったよ。
実際に私はフレックスタイム制の会社で働いたこともある。
その経験から”フレックスタイム制の現実”について書いていくよ。
全部の会社が同じではないが「こういう会社もあるんだなぁ」って感じで頭の片隅に入れて、転職に役立ててほしい。
本当にフレックスタイム制の会社は本当に魅力的なのか?
どこまで転職に重要視すべき項目なのか?を考えてみてくれ。
フレックスタイム制とはどんな制度?
まずは「フレックスタイム制とはどんな制度?」についてね。
知っている人は読み飛ばして。
フレックスタイム制の会社は、いつ出勤しても良いわけじゃない。
多くの会社は「コアタイム」という時間がある。
コアタイムとは「必ずその時間は出勤しなさい」という時間帯。
良くある例は10時~15時がコアタイム。
それ以外の時間は「フレキシブルタイム」と言われている。
フレキシブルタイムには自由に出勤して、自由に帰宅しても良い時間帯。
わかりやすく絵にするとこんな感じになる。
フレックスタイム制は朝は何時出勤が可能か?退社時間は?
フレックスタイム制を導入している会社は、出勤時間と退社時間を規制している。
朝は早くても5時。帰りは22時。
規制する理由は深夜手当と関係する。
会社は22時~5時の間は深夜手当(25%増)を払わなければいけない。
使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
会社としては、深夜に働かれると深夜手当を出さないといけないから規制があるってこと。
フレックスタイムであっても全て自由というわけではない。
フレックスタイム制の残業ってどうなっているの?
フレックスタイム制の「残業の仕組み」はどうなっているのか?
多くの会社は月の労働時間で計算している。
(たまに週ごとに計算している会社もある)
出勤日が20日、1日の労働時間が8時間の場合、月のトータルで「160時間(20日 X 8時間)」が働く時間。
もし170時間働いたら10時間の残業になる。
今日は10時から出勤して15時に退社すると実労働時間は4時間。
(お昼休みが1時間の場合)
本来、働く時間は8時間だから4時間マイナスする。
次の日に4時間残業するとプラスマイナスがゼロになる。
月のトータル労働時間が150時間で10時間マイナスした場合は・・・欠勤、遅刻の扱いになる。
でも、実際は欠勤扱いにならないように「各自で調整しなさい」って言われるのが普通。
欠勤、遅刻になったらボーナスにも影響してしまうからね。
つまりフレックスタイムは、月で働く時間が決まっていて、その時間をオーバーすると残業の扱いになる。
会社がフレックスタイム制度を導入する理由は残業削減?
「フレックスタイム制ってどんな会社が導入するの?」「なぜ導入するの?」って疑問だよね。
インターネットで「フレックスタイム制のメリット」と調べると、「残業時間の削減できる」って書いてある。
これって大ウソだよ(笑)
フレックスタイム制を導入しても残業が減る訳がない。
同じ「仕事量」を同じ「人数」で行う場合、残業時間を減らすには効率を上げるしか方法がない。
フレックスタイム制だったらなぜ効率が上がるのか?
説明できる人はいないよ。
「フレックスタイム制で残業時間が削減!」って言っている人は、商売目当ての社会保険労務士だけなんだ。
社会保険労務士の本来の業務は、労働関係の書類を作ることだけけど、今はそれだけじゃ飯が食えないから「経営コンサルまがい」のことをしている人が多い。
何かしら「私と契約するとこんな特典があります」って言わないと商売が成り立たなくなって来ている。
仕事が欲しいあまり「私と契約すると残業代が減らせます」って経営者に適当なことを言うわけ。
ウソなのに甘い誘惑に騙される経営者がたまにいるんだよ。
そういう会社はフレックスタイム制を導入して、数年後に元に戻したりしている。
働く側から言うと「しっかりしてくれよ!社長!」って言いたくなるよね。
フレックスタイム制は生産性を向上どころか低下するのが実態だよ。
社内の人に聞きたいことがあっても、出勤していないこともある。
上司の承認が必要なのに、上司が出勤してないこともある。
確実に出勤している時間はコアタイムだけ。
これだけでも明らかに効率の低下。
他部署の人と連携する仕事の場合も同じで、相手が確実に連絡が取れるのはコアタイムだけ。
もし帰宅してしまったら明日になる。
もちろん仕事は遅れる。
ただし遅れて良い仕事ばかりではないから、遅くまで残業してでも「なんとかする」しか方法がない。
誰かその業務に詳しい人を探すこともあるし、本当は他部署の仕事でも自分がやらざる得ないこともあり得る。
会社側も能率が低下することを知っているよ。
けど、フレックスタイム制を導入しなければならない事情があるってこと。
フレックスタイム制を導入する本音
フレックスタイム制を導入する、いや導入しなければならない理由がある。
その代表が渋滞による近隣住民とのトラブル。
自分の家の隣に工場や支店が建ち、あなたの出勤時間が大渋滞になったらどうする?
困っちゃうよね。
夕方に買い物に行こうとすると、帰宅ラッシュに巻き込まれる。
これって住んでる人にとっては結構深刻な問題。
個人的には「隣の小学校の運動会がうるさい」と苦情を言う人の気持ちは、よく理解ができないが「渋滞が困る」と言う人の気持ちは分かる。
行動力がある人は、近所の人と集まって会社に文句を言うだろう。
けど、近隣住民も「渋滞がひどいから、会社の場所を変えろ」とまでは言わない。
土地を買って建物を建てちゃっているからね。
その折衷案として上がるのが「フレックスタイム制」なんだ。
つまり、近隣住民とのトラブル回避のための渋滞緩和が目的ってこと。
会社は従業員に対しては「労働環境の改善」「働きがいの向上」なんて適当な事を言うだろうけど。
都会の場合は満員電車の緩和もある。
本当にひどい満員電車は体力が奪われる。
会社に着く頃にはスーツはボロボロで体力はヘトヘトになる。
従業員が多い会社は鉄道会社から、通勤時間の変更やフレックス導入の要請があるらしい。
フレックスタイム制の実態。経験者は語る
どんな理由があるにせよ、働く側に自由があるってことは良い事。
だから「フレックスタイム制のある会社は、やっぱり良い会社」って思う人もいるだろう。
では、ここでフレックスタイムで働く入社1年半の若手社員のことを紹介したい。
入社1年半ってことは、まだ新人と言ってもいいぐらいだよね。
大卒だから23歳~24歳。
この新人が先週・今週の勤務時間は「朝6時~夜22時」まで。
2週間以上はずっとこんな時間帯に出勤している。
なぜか?
もちろん納期が迫り仕事が終わらないから。
これって羨ましい労働環境か?
Q.それを見て可哀想に思わないのか?
A.もちろん思います。
Q.なぜ先輩として助けてあげないのか?
A.私も別件で6時~22時まで働いて、フォローしたくてもまったく余裕がないから厳しいっす。
現実はそんなもん(笑)
可哀想だけどコーヒーを買ってやることぐらいしか出来ないのが現状。
もちろんずっとこんな時間帯じゃないよ。
けど、年に数回は「朝6時~夜22時まで」働かなければならない期間がある。
それ以外の月は労働時間が短いか?って言われたら、決して短くなく残業は多い。
こんなフレックスタイム制はうらやましいでしょうか?
働き方の自由とは、働かせ方の自由でもあるんだよ。
各自が業務を調整するのがフレックスタイム制。
仕事が終わらなければ、長時間労働するのも調整の範囲内ってこと。
自由とは責任の引換として得られるもの、なんだよね。
フレックスタイム制は「手放しで良い環境」とは言えないことを理解してもらえたかな。
ちなみに私のことを「朝6時~夜22時まで働くんだから、仕事人間なんだな?」と思われるかもしれないが、断固として違うと言いたい。
家が大好きで友人と話すのが大好きだよ。
そのために一分、一秒でも早く退社したい。
「5万円払うと今月残業ゼロになるように仕事を減らす」と言われたら即決で払うタイプだよ(笑)
フレックスタイム制とは上司の一言で名ばかりになる
会社によって違うけど、打ち合わせが大好きな会社がある。
そういう会社の元では、フレックスタイム制は「名ばかり」になっている。
フレックスタイム制にはコアタイムという必ず出勤しないといけない時間がある。
そうすると全ての打ち合わせは、このコアタイムに押し込められる・・・と言いたいが、実際には押し込められない。
各個人が別々の打ち合わせに参加していることもあり、スケジュールが詰まっているから、忙しい人ほどコアタイムの中に押し込めることができない。
するとどうなるか?
それは部内の定例会議など調整しやすい会議は、コアタイム範囲外で行うことになる。
つまり部長や課長が「毎週火曜日は8時から部内ミーティングを行います」という決定がなされる。
部長や課長は会社全体を変える権限はないが、部内のことであれば一言で出勤時間を変えられる。
ここで質問。
あなたは火曜日だけ8持出勤で、他の曜日は10時出勤にしますか?
それで生活のリズムが整えられますか?
毎日のように出勤時間が異なると帰宅時間も異なり、食べる時間も寝る時間も変わるから疲れも溜まる。
週に1日でも出勤時間が決まってしまえば、合わせた方が体が楽だから、おのずと出勤時間の自由はなくなる。
忙しい仕事ほどフレックスタイム制は名ばかりになる。
ちなみに部署内で決めた朝早いミーティングに遅刻しても、会社のルール上はフレックスだからコアタイムに間に合えば遅刻扱いにはならない。
けど「なんで時間守れないの?」「自己管理が足りないんだよ」「社会人としての自覚が薄くないか」と怒られるのは一緒だから守るしかないんだよ(笑)
ましてや朝型の上司とぶつかると平気で「明日忙しいからミーニングは朝の7時からできるか?」と言われる。
逆に夜型の上司にぶつかると「明日のミーニングは19時からです」とか言われることもある。
上司の一言で、ため息がでることになるでしょう。
フレックスタイム制の会社は全部辛い環境なのか?
フレックスタイム制の会社が全部、例を出したように「朝6時~夜22時では働いたり」「名ばかり」かって言われたら違うよ。
それは会社によっても違うし、部署によってもぜんぜん違う。
どちらかと言えば、”会社の違い”より”所属部署の違い”の方が要因としては大きい。
事実として新人が「朝6時~夜22時」の労働環境の中で、隣の部署は中堅クラスは残業がゼロだったりする。
年間通して残業がゼロの部署もある。
「残業ゼロ」と「フレックスタイム制」の組み合わせは、働く側にとって天国とも言える環境。
若い時に夢を見た「早く帰ってゲームしたい」という環境がそこにはあるんだよ。
子供と風呂に入ることもできるだろう。
じゃ、どんな会社や部署は辛い環境に追い込まれるのか?
じゃ、次は「楽な仕事と辛い仕事の見極め方」について書こうと思う。
気になる人は読んでみて。
まとめ
- フレックスタイム制の一番目的は労働者の環境改善ではない。
- フレックスタイム制では仕事の効率は上がらない。
- フレックスタイム制が天国か地獄かは”会社の違い”と”部署の違い”によって決まる。
- 転職先がフレックスタイム制を導入しているから、働きやすい良い会社と思うのは安易な発想。