転職の面接や書類で悩むのが退職の理由。
退職理由の答え方によっては不採用になってしまう。
転職関連の本、またはインターネットには「前職を悪く言うのは止めましょう」というのがセオリーとして書かれている。
つまり「本音」ではなく「建前」で乗り切ろうってこと。
しかし本音が伏せられてしまうと・・・何も思い浮かばないという人が多いのではないか?
転職する人は元の会社に対して、何かしらの不満や不安を持っている。
じゃないと転職に踏み切らない。
このような本音が禁じられると、みんな「キャリアップ」という言葉を使う。
キャリアアップという言葉は意味がはっきりしない。
給料を指しているのか?
会社の規模を示しているのか?
もしくは専門的な知識のことなのか?
転職者がこぞって「キャリアアップ」を多用するから、面接官はこの言葉に敏感に反応する。
「具体的にはキャリアアップとは何を示しているのですか?」
「キャリアアップが前職で成しえない理由は何ですか?」
「キャリアアップすることで何をしたいのですか?」
「キャリアアップ後の目的は何ですか?」
面接官をしていた経験上では、この質問に3割の人は答えられない。
答えられないと不採用の確立は上がる。
どうせ厳しい質問が来るのであれば、最初から濁した言葉は使わない方が良い。
濁した言葉が使えない、そして本音はNGになると・・・「適当に答えたらつっこまれる。本音は言えない。じゃ答えようがないよ」という状態になる。
だから退職理由にみんな悩む。
では採用される人はどのような回答をしているのか?
それは「言っても退職理由の本音」と「言ってはいけない退職理由の本音」に分けて使いこなしている。
言っても良い「退職理由の本音」「前職の悪口」の条件
言っても良い退職理由には条件がある。
その条件は「面接官に共感される」こと。
共感されるためには、主観ではなく客観的(できれば具体的な数字で)に説明する必要がある。
これさえクリアーすれば、本音で退職理由を言っても問題ない。
ここに、ある転職サイトに記載されている「退職理由の本音ランキング」がある。
これを使って「伝えて良い退職理由」と「使ってはいけない退職理由」に分けてみよう。
ランキング | 本音の退職理由 |
1位 | 給料・ボーナスが低い |
2位 | 上司や同僚との人間関係 |
3位 | 残業時間が多い |
4位 | 仕事内容が面白くない |
5位 | 評価制度に納得できない |
6位 | 派遣や契約社員から正社員へ |
7位 | 残業手当がない |
8位 | 希望の部署に配置されなかった |
9位 | 休日・有給休暇が少ない |
10位 | 勤務地を変えたい(Uターン転職) |
退職理由の本音1位「給料・ボーナスが低い」使って良い悪い?
「給料が低い・ボーナスが低い」などお金に関係するものは退職理由にしない方が良いとされているがそんなことはない。
特に現在の給料が世間一般より低い人は問題ない。
もともと仕事とはお金をために行う行為。
そして給料は高ければ高いほど良いと誰しもが思うこと。
ただし単純に「給料がもっと欲しい」はNG。
理由は「もっと給料高い会社があったら転職する」と思われる。
だから「現在の給料では厳しい理由」や「将来を見て人生設計した場合どうなりたいか?」を伝える。
例えば
「結婚し子供を授かった場合、現在の給料では難しい」
「マイホームが夢であり、現在の給料では不可能である」
そのためにはいくら必要と考えている等々の具体例を出した方が説得力を増す。
そしてその給料の対価以上の働きをする意識を見せれれば問題ない。
退職理由の本音2位「上司・同僚との人間関係」使って良い悪い?
仕事の悩みで人間関係で苦しんでいる人は多い。
人は十人十色で、性格が悪い人もいる。
この理由で退職する人は多く、とても気持ちは分かるが退職理由としてはNG。
人間関係とはあくまで主観。
他の人から見れば良い人かもしれない。
もし個人的にイジメやパワハラを受けていたとしても、それを証明することができない。
そして面接官がもっとも嫌がる人材は「人間関係がうまく出来ない人」「トラブルを起こす人」である。
これはあなたが悪いわけではないかもしれないが、それを面接官が判断することは出来ない。
もし他の多くの社員も人間関係が悪いと感じている場合、その会社の離職率やうつ病になる人は高いはず。
そうであれば「今の仕事自体は好きですが、今の職場は離職率が多く(できれば具体的な数字で)会社の将来的な展望が持つことができませんでした」等の言い方を変える。
離職率が高い会社は将来性がないと思うのは誰もが同じ。
そういった共感が持てるような理由にすれば退職理由として使う事ができる。
(転職先の同じように離職率が高かったら不採用になる可能性は高いが、その場合はあまり良い会社ではないと思うので、逆に不採用になった方が得ではないでしょうか)
退職理由の本音3位「残業時間が多い」使って良い悪い?
退職理由に残業時間を使うのは○とも✕とも言えず△。
どのレベルが「残業が多い」と捉え共感できるか?は人によって違う。
残業時間が毎月100時間を超えていれば、その環境は辛いと思ってもらえるだろう。
逆に残業が20時間の場合「何言ってるの?」と思われる。(特殊な事情がない限りは)
個人的には毎月残業80時間ぐらいに「退職するほど辛い環境」と多くの人が共感できるボーダーがあると思う。
それぐらい残業が多い人は「子供に手がかかる時期や親の介護が必要になった場合、現在の残業量では厳しいと判断しました」と上手く伝えること。
もし「残業が20時間でも多くて無理」という人は、オススメはしないが親の介護や家庭の事情とウソを付くしかない。
退職理由の本音4位「仕事内容が面白くない(合わない)」使って良い悪い?
退職理由に「仕事が面白くない」はNG。
面白くない仕事をしていても成長はできないし理由としては真っ当だけど、主観であり数字で示すことができない。
言い方を「○○の仕事が面白くない」ではなく「○○の仕事に興味がのでやってみたい」という風に言い方を変えること。
また現在の会社で部署異動することでその希望が叶う場合は「部署異動を上司に相談しなかったのか?」という質問が想定される。
その質問にはしっかり準備して臨むこと。
退職理由の本音5位「評価制度に納得できない」は使って良い悪い?
評価制度を退職理由にするのも普通はNG。
評価制度の不満は自分の主観である自己評価に対して、上司からの評価と食い違いから生まれるもの。
しかし会社によっては明らかにおかしな評価制度もある。
知っている会社では年一回のペーパーテストで評価される。
そのテストが実務に直結するのなら納得ができるが社会情勢に関する問題。
そして普段の仕事に対する評価はゼロという会社がある。
こういった風に世間一般の評価制度から掛け離れている場合、面接官に共感されやすい。
退職理由の本音6位「派遣や契約社員から正社員へ」は使って良い悪い?
派遣や契約社員の人は退職理由を「将来を考え雇用形態を正社員に変えたい」という理由することは問題ない。
派遣と正社員では待遇が違うことはm世間の常識であり面接官も承知している。
但し「正社員になりたい理由はなにか?」という質問は来るだろう。
その場合もちろん雇用の安定性や給料の話を出しても良いが、「責任ある仕事に付きたい」とか「同じ職種でも仕事の幅を広げたい」と仕事の観点からも正社員の感じた魅力を付け加えたい。
退職理由の本音7位「残業手当がない」使って良い悪い?
残業手当が出ないを理由にするのは問題ない。
残業手当が出ないは給料の未払いと同じで、明らかに法律違反。
以前は残業手当がでない会社がたくさんあったが、今はコンプライアンスが厳しくなり、「法律違反はゆるさない」という風潮がある。
残業手当がないと労働意欲が低下して当然と面接官にも共感されやすい。
しかし同じ残業問題でも「残業の多さが法律違反だ」という理由はオススメしない。
残業は労働基準法の36協定に1ヶ月に45時間と規定があるが、特別条項があるため会社が申請すれば青天井になり法律上問題ないことになる。(実際に年間の残業時間が1000時間しても法律上問題ない会社もある)
退職理由の本音8位「希望の部署に配置されなかった」は使って良い悪い?
退職理由を「希望の部署に配属されない」は条件付きで使って良い。
会社の部署とは職種にあたる。
希望の職種に就けないと仕事のやりがいに繋がるため正当な理由になる。
しかし希望の部署に配属させられない人は多く、会社側の目線に立つと「それで辞められたら困る」というのが本音。
だから「その希望の職種にはどんな魅力を感じているのか?」と「上司に相談を繰り返したが希望に沿ってもらえない事」を述べるのがポイントになる。
そこに説得力を持たせられれば退職の理由にしても良い。
退職理由の本音9位「休日・有給休暇が少ない」使って良い悪い?
会社が与える有給の少なさが法律違反であればOKだが、有給が取りにくいという理由は主観であるためNGになる。
休日日数は客観的な数字で表せるが「それは入社前に分かっていたでしょ?」と言えれたら答えようがない。
もし休日を退職理由に出来る人は、入社前に聞いていた日数と異なってる人。
つまり聞いていた契約と異なっている人。
もしくは自分の環境の変化から休日が必要な理由を明確にして説得力をもたせられる人。
退職理由の本音10位「希望の勤務地で働きたい(Uターン転職)」は使って良い悪い?
勤務地の変更は、会社によって大きく見方が違う。
特にUターン転職を好む会社と好まない会社がある。
転勤が多い会社は採用されにくく、地元に根づいている会社はUターン転職者を積極採用する。
転職の会社はどちらのパターンか見極めてから使おう。
そもそも論。なぜ面接官は退職理由を聞きたいのか?
「退職理由をお聞かせください」というのは転職の面接では非常に多い質問。
なぜ多くの会社が退職した理由しりたいのか?
それは「入社した後に辞められる可能性はあるか?」を見ている。
会社にとって一番痛いのは入社後数年で退職されること。
せっかく仕事を覚えてもらったのに退職されては困る。
そして採用決定権を持つ面接官の立場もない。
だから退職理由が客観的で具体的な数字をだされた方が、面接官としては安心を覚える。
退職理由を本音で言うメリット
なぜ一般的に退職理由で本音を言うことがいけないのか?
それは言わない方が無難だからである。
退職理由を聞いてとても納得いく回答でも「よし!この人を採用しよう」とはならない。
しかし退職理由によっては「この人は不採用にしよう」と決定打になる場合がある。
つまりプラス点にはならないが、マイナス点になるのが退職の理由。
だから建前を使って上手にやりましょう、と言われている。
しかし退職理由を本音で伝えるメリットも2つある。
ひとつは建前でごまかした場合「突っ込まれたら、はっきり言えない」「ウソを付いているように感じる」と思われるマイナス点が防ぐこと。
もうひとつは、退職理由の原因がある会社からは採用されないこと。
例えば求人には「月の残業時間40時間程度」と書いてあっても実際には残業80時間は当たり前という会社がある。
その場合、退職理由を「残業が多い」にすれば採用される事はない。
逆に採用されれば転職先の残業は多くないってことになる。
つまり自分が嫌だと思っている原因がある会社を除外できる。
求人情報ではその会社の本質はなかなか見えず、入社しないと分からない事が多い中、こちら側から予防線が張れるメリットがある。
あとは使い方。
面接官に共感してもらえるような退職理由であれば損はない。
おさらい
- 退職理由は建前を使うとボロがでやすい
- 面接官に共感されるされれば本音で話して問題ない
- 共感されるためには主観では客観的に。