資格があれば安泰か?資格のもろさ

資格を目指す人は、さまざまな理由があると思う。

就職のため。
安定した職に付くため。
給料を上げるため。
独立するため。

私は「強い資格を取れれば、高収入になれる可能性は高い」と思っていた。

ところが。
最近になり「資格のもろさ」を知った。

資格を目指す人は考える材料にしてほしい。

 

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弁護士の年収から分かる。資格のもろさ

弁護士と聞くと「儲かっているんだろうなぁ」というイメージがある。
それは「難関」と言われる司法試験に合格した人だから。

司法試験は何年もバイトしながら勉強して、平均30歳前後でようやく取得する資格。

ところが2018年の「弁護士の所得のアンケート」を見ると驚く。
一番人口が多い層は「年収200万円~500万円」。

この数字を見て私は「そんな少ないわけないよね?」と思った。

二番目に多いのは「500万円~750万円」。

儲かっている人は億単位の人もいるが、所得の中央値は年収650万円である。

 

注)中央値とは

中央値=データを小さい順、もしくは大きい順に並べて、真ん中の順位の値
平均値=データを足して、データ数で割った値

 

 

中央値で年収650万円ということは、半分の人は650万以下ということ。

これを知ったときの感想は「想像していた年収よりかなり低い」でした。

 

少し前は高かった弁護士の収入

時系列で見ると弁護の所得は徐々に下がり、2010年以降に急に下がっている。

 

2006年から2018年の12年で所得は半分近くに減少。

なぜこんなにも下がるのでしょうか?

 

所得がここまで下がる原因は?

下記のグラフは司法試験の合格者数。

 

このグラフを見ると、2000年代後半から合格者数が急に増えている。
これは試験が見直しされ、合格者が増えているらしい。

 

一方で弁護士の仕事は増えているのでしょうか?

2007年~2011年は「過払い金等」が増えている。
これは2006年の最高裁判決の影響です。

簡単にいうと「金融会社は、受け取り過ぎた金利は返しなさい」という判決です。
これによって過払いしていた人が弁護士に依頼して、一時的に仕事が増えたということです。

なので2006年と2012年~2019年は、おおよそ横ばいです。

 

弁護士の人数は増えているのに、仕事量はあまり変わらず。
これは「供給量は増えている」のに「需要は横ばい」ということ。

 

よく需要を「食べるパイ」に表現されることがある。

需要が大きくなると「パイが大きくなる」
需要が小さくなると「パイが小さくなる」という風に。

弁護士の仕事をパイで表現すると「大きさはあまり変わらないパイ」を「多くの人で食べようとしている」状態。

当然ながら「ひとりが食べられるパイのサイズ」は減ります。
これが所得を減らしている原因です。

ただし「新しい弁護士が増えた」ということは「若い人が増えて平均年齢が下がっている」はずです。

若い人は経験が少ない。
なので所得が下がっている要素になっているのでは?

 

年齢別に調べてみると

下記のグラフは弁護士の経験年数別の年収。

2014年に全て経験年数で年収は下がっている。

2008年と2018年で比較すると

傾向としては「経験年数が多いほど」「年収が高いほど」下がっている。

これは「経験年数が少ない人」が大量に増えて「経験年数が多い人の仕事をどんどん奪っている」のでしょう。

 

弁護士だけの現象なのか?

他の資格の仕事はどうなんだろう?

実は2010年~2019年で比較すると、最も給与が下がった職業のワースト1位、2位、3位は資格の仕事。

1位は弁護士。
弁護士は「元の所得が高いから」という理由はあるが、ダントツで下がっている。

 

その次は「公認会計士、税理士」「社会保険労務士」と続く。
3つとも資格が必要な仕事です。

では、「公認会計士、税理士」の合格者や合格率はどうなっているのか?

 

見てもらえば分かるように「なんじゃこりゃ?」と笑ってしまう推移になっている。

8%だった合格率は、2006年~2008年は19%まで上がり、合格者数は3倍~4倍に増えている。
3年間だけ高い合格率だったが、すぐに戻る。

理由は分からないが、おそらく意図的に合格者数を増やそうとしているよね。

 

次に社会保険労務士。

社会保険労務士の場合は、合格率に大きな変化はない。
けど2000年~2014年あたりに合格者が増えいる。

これは「それだけ受験者が増えた」ということ。

2000年前後と言えば就職氷河期。

就職氷河期の影響で、社会保険労務士を目指す人が増えたのか。
もしくは注目が集まる要因があったのでしょう。

3つの資格とも共通しているのは「少し前に合格者数がやけに増えている時期がある」ということ。

 

一方で所得が上がる資格も

「資格がないと出来ない仕事」でも給料が上がっているものもある。

ひとつ例を出すと一級建築士。

2009年の一級建築士の給与は39.9万円。
2019年には46.2万円(約1.16倍)。

(下記の表の10位が一級建築士)

 

では、一級建築士の合格者数はどうなっているか?

合格者は2000年を境に急に減り、全体的には減少傾向。

1級建築士の需要が分からないので「おそらく」ですが、合格者の減少が給与UPに繋がっている可能性が高い。

 

資格の安定は「政治と消費者」次第

資格には「強い資格」と「弱い資格」がある。
強い資格の多くは「資格を取得すると法律上の権利が得られる」もの。

 

例えば、弁護士とか建築士とか電気工事士とか。
これらは法律で、仕事としてやる場合は「資格がある人しかできない」という制限がある。

逆に言うと資格がない人は、仕事として参入すらできない。
参入障壁があるから「強い資格」になる・・・と思ってた。

 

しかし「需要に対して何人を合格させるのか?」によって「弱い資格」にもなる。
それを決めているのは政治です。

そして需要を決めるのは私たち消費者。

ただ日本は20年も消費は伸びてない。

下記のグラフは「二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出」。
2000年を1.0として場合の推移。

消費は下がり気味である。

こんな状態では、合格者数を決める判断が「所得」や「職の安定」も左右する。

 

司法試験について、政府は「質の確保」という意味で合格者を増やしたらしい。
「たくさんの人がいれば、競争原理が働き、質は向上するだろう」と。

ところが弁護士の中から「受験者が増えてないのに合格者を増やしたら質は落ちる」とクレームがあるらしい。
本当に質が落ちているのか、もしくは単純に収入が落ちているから「ふざけんな」と言ってるかは分かりません。

色んな思惑があるのでしょう。

 

なんの資格でも10年後、20年先を読むことは、なかなかできません。

資格を目指すときに「これぐらいは稼げるのはないか?」という狙いがあると思う。

その狙いは外部の力によって崩れるかもしれない。
そういう前提に立ち、資格を目指すかどうか考える材料にしてほしい。