転職や就職に苦労をしている人は多い。
そんな中「ヘッドハンティングされた」という景気が良い話もある。
ヘッドハンティングって憧れるよね。
自分の頑張りが噂になり会社の外にも広がりも、高収入・好条件で誘いを受ける。
「我が社にはあなたのような人材を必要としています。ぜひ、我が社への入社を検討して頂きたい」
そんな言葉を言われたら、鼻高々になり調子に乗って浮かれる自分の姿が目に浮かぶ。
けど、こんなヘッドハンティングは、ごく一部しかないってことを知ってほしい。
ほとんどのヘットハンティングは「なにかしらの裏事情」を抱えている。
ヘッドハンティングとは何か?
普通の転職・就職は、自分が会社を選択するところから始まる。
会社はあくまで応募の中から希望があった者からしか選べない。
つまり、先手は転職者で会社は後手。
だから会社は「求人募集しても条件に合う人が来ない」というジレンマを抱えている。
そして会社は求人募集するだけで多くの費用をかけている。
求人雑誌にしても転職サイトも転職エージェントも高額である。
特に専門性が高い仕事は費用対効果が非常に悪い。
会社から見ると「お金掛けて募集しても意味ないじゃん!」って状態。
これを解決するのがヘッドハンティング。
実績のある人を見極めて、会社側から入社を求める。
常にハードルとなっている「条件に合う人材」はクリアーしているだけに効率が良い。
・・・。
・・・。
・・・。
って、実はこれは「表側の理由」
現実はヘッドハンティングの成功率はめちゃくちゃ低い。
だって、転職希望してない人を誘うんだよ?
誘った人にも家族も子供もいるだろう。
嫁さんの同意を得られない事もあるし、子供の転校の問題にも繋がる。
親の老後や介護問題も絡む。
そして声が掛かるほど認められてる人は、そりなりの立場(役職)で給料も高め。
その他もろもろの事情を考えると「ヘッドハンティングしても人が来ない」ってのが実情なんだ。
その問題をクリアーするには、給料面の好条件の提示しかない。
会社はそれだけの給料を出せるのか?
出すメリットはあるのか?
その好条件を他の社員を納得させる理由があるのか?
それでも事実ヘッドハンティングがある。
つまり「それなりの理由」があるってこと。
会社がヘッドハンティングをする代表例
会社がヘッドハンティングするケースは、キレイな事情ばかりではない。
いやキレイな事情の方が少ない。
取引先の会社とパイプを太くしたい
ハットハンティングする理由の代表格は、会社間のパイプを太くしたいから。
このヘッドハンティングを受けるためには、あなたの会社が仕事を発注する側である必要がある。
その会社であなたが中堅クラス以上である場合、下請けの企業から誘われる。
何を狙っているのか?
これには2つの狙いがある。
ひとつはトラブルバスターとしての役割。
会社同士の関係には上下関係がある。
仕事を与える側が上で、仕事をもらう側が下。
まれに特殊な技術や特許をもっていて、立場が逆転することもあるが、普通は仕事を与える側が強い。
何かトラブルがあると、この上下関係があからさまになる。
そんなときに有効なのが、仕事を与える側の重役クラスをヘッドハンティングで引っ張ること。
長年お世話になり、人間関係が出来上がった人がいると強気で言えなくなる。
その関係性を利用して、トラブルや交渉事が難航したときにコネ入社がドラブルバスターとして活用される。
もうひとつは無言の誘惑。
もし、あたなの上司が給料などの好条件でヘッドハンティングされたとする。
その会社をあなたはどう思うか?
「オレも良い関係を気づけば・・・もしかすると」なんて思わない?
そう思った会社に、他の会社と差別することなく接することができる?
このスケベ心を上手く利用する。
つまりヘッドハンティングした周囲の社員に、将来は天下り先として待遇や給料UPをチラ付けせる事が目的。
これを何度か繰り返すと会社間のパイプが強くなるってこと。
人材募集がノルマ化されているツテ転職・リファラル採用
よくヘッドハンティングする会社として「人材の募集がノルマ化」されている業界がある。
つまり社員に対して「今月に○人以上、転職希望者を集めろ」というノルマがある。
これを現在では「ツテ転職」「リファラル採用」と呼ばれたりする。
リファラル採用とは簡単にいうと社員紹介による入社のこと。
実際にリファラル採用を導入しているノルマ化している会社は急激に社員数を増やすことができる。
こういう採用方法する会社は、それほど付き合いが深くない人でも入社を誘ってくる。
そして明らかに採用決定権がないような役職の人が誘ってくる。
(駅前やハローワークの前に立ち勧誘している会社もある。)
もし「○○さん、良ければうちの会社に来ませんか?私が会社の上に話を通しますから」って言われたらどう思う?
オレにそういう話が来たら、入社するかは分からないが、少なくても嬉しくて舞い上がるよ。
もしかすると友人に自慢したくなるかも・・・。
そういう気持ちを利用し揺さぶってくる。
それほど付き合いが深くないのに誘ってくる会社は細心の注意をしてほしい。
【実例】ヘッドハンティングされた友
ここからは実際あった友人の話。
友人の年齢は30代後半。
営業支店の支店長の立場で働いている。
その会社が最近になり先代社長が引退し、息子が社長となった。
それから1年後、明らかな経営をミスって売り上げが急降下。
だから友人は「この会社に先があるのか?」「ここから立て直せるのか?」なんて悩み、転職を視野に入れていた。
そこにタイミング良く昔付き合っていた会社からハッドハンティング。
業界は住宅産業。
生まれて始めてのヘッドハンティングに案の定、友人は浮かれた。
但し条件は不透明なことが多い。
友人は一応、支店長という立場だから世間から見ると数万円だが給料は高め。
だから給料ダウン(5万程度)も覚悟した。
但しそれ以上の条件が悪くなると断ることも・・・。
そんな事を考えてると入社の依頼があった会社から「とりあえず履歴書と職務経歴書を送付して下さい」と急かすような電話があった。
友人は退職を決意し必要書類を作成して、いざ面接へ。
面接後に友人からの電話に驚いたよ。
「どうだった面接」
「あ、あぁ」
「上手く出来たのか?」
「面接は上手くいったかな、けど条件がな」
「条件?なに?給料か?それは覚悟してたじゃん」
「違うんだ。雇用形態が契約社員なんだ」
「はぁ?!!」
友人は入社を誘われ、そして急かされた挙句「初めは契約社員です」と面接で伝えれた。
しかも「初めは」というのは条件があり、宅建の資格を取得すれば正社員になれるらしい。
正直、宅建の資格はそこまで難関ではない。
合格率は15%程度で低めだが、会社命令で強制的に試験に行く人が多く、また実務経験や学歴不問だから気軽に応募する人もいる。
だから頑張れば取得できない資格ではないが、腹が立つのは勧誘のしかた。
給料などの条件は経験や年齢によって左右されるから、決定するまではっきり言えないのは分かる。
もし高い条件を言ってしまったら、後で問題になるケースもある。
組織の中にいるので承認がないと、はっきり言えない気持ちも分かる。
しかし雇用形態が契約社員なのは、資格の有無さえ確認すれば分かるはず。
ましては住宅関係ではない友人は、宅建の資格を持ってるはずがない。
なのに面接までその事実を伝えない。
この魂胆が気に入らない。
オレは友人に伝えた。
「お前はその会社からなめられてる。次は役員面接だ?オレなら役員の机を蹴飛ばして帰ってくる」
とだけ伝えた。
人間関係は初期に信頼を失えば回復するのは難しい。
よほどの事をしないと関係性は終わる。
そこまでして会社に誘った理由は何か?
それは人材募集を社員にノルマ化していたから。
会社が社員に押し付ける理由はなにか?
それは普通に求人を出しても、誰も来ない悪い雇用条件だから。
そして求人に対してお金を掛けられない。
その理由は退職者が多くて、いくらお金があっても足りないから。
どう頭をひねってもそれ以上の答えは見つからない。
ヘッドハンティングの裏側
ヘッドハンティングというのは聞こえが良い。
聞こえが良いが、実際に能力を買われて誘われるケースは少ない。
多くの場合は普通に求人できない理由がある。
その理由は3つ。
- 早期退職者が多すぎて求人募集する費用がない
- 違法な働かせ方をするため、公に募集ができない
- 条件が悪いから普通に募集しても人が来ない
上記の理由が複合的に絡み合っている場合もある。
大切なのはヘッドハンティングの中には、こういう理由もあり得る、と知ること。
実際に誘われたときに頭をよぎれば「疑う気持ち」が出てくる。
疑う目で見てみれば、大抵は騙されない。
ヘッドハンティングに期待すると危ないよ。
それにね。
転職って「会社を変えることに価値があるんじゃない」って思っている。
確約された会社に行くことは、今までの生活と何が違うのか。
自分の道を自分で決断し、行動に移すことに価値があるのではないだろうか?
おさらい
- ヘッドハンティングの大半は何か裏がある
- ヘッドハンティングに浮かれると冷静に見ることができずドツボにハマる。
- 告白されるのを待つな。自分で行動するから転職に価値が生まれる
- 良いツテ転職は「あなたと親しく」「採用決定権を持つ人」が「あなたの仕事内容を見て」「初めから条件を提示」される転職