【新たな営業電話の手法】アパート売買を勧める営業マンのセールストークに「まじか」と驚いた

皆さんの会社や自宅にこんな営業電話がありませんか?

「アパートを購入して資産の運用に興味はありませんか?」

オレは会社から携帯を持たされているのだが、こんな電話が多い。

どうやら複数の同僚にも電話があるようで、会社の誰かが社内の電話帳を売買したんだと思う。

おそらくは退職した誰かだろう。

多い電話は生命保険や住宅販売。
それに続くのが資産運用のためのアパート購入。

今回はある営業マンからの一本の電話の話。

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困難を極めるアパート売買の営業

世の中には色んな営業があるが難易度はそれぞれ。

「高額であり」「需要が少なく」「ライバル企業が多い」営業は難易度が高い。

需要が少ないと見込み客を探すのが大変。

高額であるとそもそも大金を持っている人が少ない。

ライバルが多いと価格やサービスの競争が激化し、そのライバル達をなぎ倒さないと購入には至らない。

そういう意味では、アパート売買の営業はとても大変な仕事。

またアパート売買の最大の欠点は将来性。

日本の人口減少は今後も続き、まったく回復する傾向にない。

統計によると2010年が人口のピークで1億2806万人。
それが2040年には人口は1億人に減ると言われている。 

今も人口は減っているが、アパートの需要を支えていたのが核家族化。

30年ぐらい前はおじいちゃんの家に3世帯で住んでいるのが普通だった。
別の家やアパートを借りる余裕なんてない時代。

今は3世帯が全てバラバラに暮らすのが、当たり前になって来ている。
更にバラバラにする方法があるとすれば離婚。

夫婦が当たり前のように別に暮せば、アパート需要は伸びるだろうが、現在でも離婚率は高く、これ以上の期待は出来ないだろう。

って考えると・・・アパートの家賃収入で儲ける商売は手詰まり。

1億2千万人が住む分の家やアパートがあるのに、人が1億人になったらどうなるか?
単純に2000万人分の余りがでる。

土地の価格を決めるのは需要と供給のバランス。
東京の土地が高いのは、金塊や石油が埋まっているわけじゃなく「欲しい」と思う人が多いだけ。

住みたいと思う人より、アパートの数が多かったら価格は下落せざるえない。

つまり「アパートを購入して家賃収入で儲けましょ」と説明できるロジックが破綻しているんだよ。

それは賃貸不動産業も同じ。

まったく同じ理由で賃貸不動産も先に明るい展望がはない。

だから「業界的にとっても大変な仕事だなぁ」って思っていた。

新たな営業手法に思わず「まじか」と驚いた

ある日の夕方。
時間は6時すぎ。

オレはお客さんと打ち合わせをしていたら携帯が震えた。
「ちょっとすいません」と言い携帯を見ると登録されてない番号。

「切り」のボタンを押しお客さんとの会話を始めたら、また携帯が震える。
再度「切り」を押した30秒後に、また電話が震える。

会社で何かあったのかも・・・。

そんな想像をしているとお客さんが「いいよ、いいよ。急ぎかもしれないから電話でなよ」と言ってくれた。

何度も顔を合わせているお客様さんで良かった。

「申し訳ないです。ちょっと席を外します」と謝り歩きながら電話にでる。

「もしもし。かわなべです(オレ)」

「で、どうする?」

意味が分からん。
電話に出て第一声が「で、どうする?」と言われた経験がない。

「え?何ですか?」

「いやいや失礼、失礼。アパートの購入なんだけど、で、どうする?」

声は低いが暗いわけではなく、イメージで言うとバラエティ番組に出ている中尾彬さんのような声。

「どうすると急に言われましても・・・」

「いや、今を逃すと難しいよ」

ここである事に気づく、こいつタメ口じゃん。

確かに声から推測すると年上。
けど営業の電話でタメ口ってありえる?

「すいません。これってアパート売買の営業電話ですか?そうであれば仕事で打ち合わせ中なもんで」

「打ち合わせ中なんだ?そっかー。で、いつ終わるの?」

口ぐせなのか、言葉の端々にでる「で、」がなんか腹立つ。

「お客さん次第なので分からないのですが、もしかすると8時過ぎてしまうかもしれません」

「8時か〜。まずいなぁ。もうちょっと早くなる?」

なに、この上から目線。
まるでオレかアパートを欲しくて、相手がしょうがなく売ってあげるようなスタンス。

「分からないです。とにかく切らせて頂きます」

そう言って打ち合わせに戻った・・・。

打ち合わせ後、車に運転しているとさっきの出来事を思い出した。

あれは一体何だったのか・・・。
そしてあの人は何だったのか・・・。

そう思いながら会社の駐車場に付くと電話が鳴った。

・・・。

・・・。

登録されていない番号だが『あいつだ』と思った。

「もしもし。かわなべです」

「で、どうする?」

なぜこいつは『もしもし』と言わないのか?

「あぁ。先程の方ですね。さっきはどうも」

「あんまり時間ないんだけど、早速決めちゃう?」

言い方が腹立つが、イライラしても仕方ない。
こういうセールストークに、興味がありません、と伝えてもムダ。
興味が持つように話してくるだけで時間がもったいない。

だからウソを付いた。

「アパートの件ですね。すいませんが昨年に家を購入していて住む所はありますし、お金もないですよ」

「家買ったの?高かったでしょ?」

「まぁ2千万ちょいぐらいですね。だからアパートは購入予定はありません」

「じゃ、丁度よかった。お金に困っているならピッタリの物件があるよ」

しまった・・・。こいつに何を言ってもムダだ。
そう心に中で呟くとこんな事を言ってきた。

「アパートは目黒(東京)なんだけど、家どこ?」

え?こいつオレがどこに住んでるか知らんの?
住んでる場所が分からないのにアパートの営業?

なんだか面白くなってきた。
ここでもうひとつウソを付いてみた。

「東京都です」

「東京なんだ。ちょうど良かったよ。で、東京のどこ?」

「東京は東京でも、ちょっと外れの方なんですよ」

「そうなんだ・・・。で、どこ?」

「沖ノ鳥島です」

「おきのとりしま?・・・それってどこ?」

説明しよう。沖ノ鳥島とは数日前にテレビで知った島。

場所はここ。

そう、日本というかフィリピンのちょっと北東。
ちょうどベトナムと同じ緯度。

でも、立派な東京都の一部であり日本で最南端の島。
(東京都からは1700km)

テレビで『日本の最南端は東京なんです~」と言っていたのを思い出した。

「えーと、沖ノ鳥島ね・・・」と呟くと電話越しにパソコンを叩く音が聞こえてきた。

おそらくパソコンで地図や写真を出したのだろう。

「君・・・ここ住んでるの?」

「はい、そうです」

「家・・・買ったの?」

「はい」

「まじで」

「はい」

必要に食いついてくるにのは訳がある。
実は沖ノ鳥島はこんな感じの島。

地面に土がない。
うっすら地面に見えるのはサンゴ礁らしい。
家なんか建てたら初期から床上浸水は間違いない。

「今、ネットで写真見ているだけど、ベンチみたいに見えるあれはなに?」

たぶんこいつが言っているのはこれだ。

これは観測施設ではあるが、もう後には引けない。

「あぁ、それ左側に見えるのが自分の家です。わりと快適ですよ」

「そうか、これが君の家か・・・。で、お客さんどこ?」

こいつ腹は立つが、いちいちもっともな事を言う。

「たぶん写真の角度によっては見えないんですよ」

「あぁ、そうなんだ。で、携帯って通じるの?」

通じるわけがないじゃん。
こんな所に携帯電話の基地局を作ったら電話会社が笑われる。

けど後には引けない。
オレにも意地ってもんがある。(どこに意地を張っているのか?)

「えぇ、通じますよ。今もバリ3です」

説明しよう、バリ3とはガラケー時代にあったこんなマーク。

携帯電話の電波の強さの示すマークであり、おっさん世代には通じる言葉である。

「バリ3かぁ。で、君の仕事ってなに?」

「え?漁業以外に何かあるように見えます?」

「確かに。見えないねぇ」

確かにじゃねぇーよ。
なんで笑わないで普通に話していられるんだよ。

「で、漁師の仕事ってどう?」

漁師の仕事に食いつくのか・・・。
まったく知らない。

「まぁ漁師も大変って言えば大変ですよど、アパート売るのも大変じゃないですか?」

「お!そうなんだよ」

「すいません、もうこんな時間だ。忙しいので電話切ってもいいですか?」

「忙しい?」

「そうですよ、これでも忙しい身なんですよ」

「忙しいか・・・。そうだろうね。君、面白いからまた電話するよ」

「え?もう良いのではないでしょうか」

「え?なんで?」

「なんでって・・・。不毛なやり取りしてもお互いに利はないですよ」

「うーーん。利がないか・・・。確かに利の匂いはしないよねぇ・・・。けど営業って利益の匂いがしない所にチャンスがあるもんでしょ?ではではまた。」

こんな感じで電話は切れた。

なに最後にもっともらしい哲学みたいな事言ってんだよ。

営業って大変だ。何周も回って辿り着く自分なりの営業手法

不思議な出会いだった。

おそらくこの営業マンは以前は普通の営業をしていたんだろう。

「もしもし。現在、資産運用について提案活動を行っておりまして、アパートのご購入に興味はありませんか?」って感じに。

こんなありきたりな言葉で食い付くお客はいない。

そして売れない営業はみんな言う。

「商品が悪いから売れない」と。

でも冷静に考えてみると「売れる商品には営業職は必要ない」というのも事実。
魅力的な商品であれば、広告を出し認知されてばお客は集まるはず。

商品に大差がないからこそ営業の力が必要になる。

だから営業は「物」ではなく「自分」を売り込む。

ただ多くのお客は話を聞くという土俵にすら上がらない。
土俵にさえ上がれば、上手を取るなり、つっぱりするなりの手法がある。

電話があったアパートの営業も、土俵に上がらせる為にあの手、この手を何周も繰り返したのだろう。

その結果が電話の第一声で「で、どうする?」に行き着いた。
それに加えて、タメ口で圧倒的な上から目線。

まるで「買わない選択肢なんかあるの?」と言わんばかりの上から目線。

一回、話したら忘れないインパクトがある。

今まで沢山の営業電話を取ったが、長くても3分以上話した事がない。
なのに・・・このアパート営業とは15分以上も話してしまった。

あいつからすると「お。片足はもう土俵の上じゃん」なんだろう。

そしてアパートは絶対に買わないが、心に心境の変化があった。
それは、昨日登録がない電話が鳴った時に「もしやあいつか?」と思う自分がいた。

そう・・・ちょっとだけ期待してしまった。

期待した自分を知った時に「こんな営業手法もあるの?」と考えされられた。

もう一度言うがオレはアパートを買わない。
買わないが万が一でも買った時がきたら報告しよう。

もし買った時は・・・そしてあいつから営業手法を盗む事ができたなら・・・それはアパートの価格分の以上の価値があるのかもしれない。

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