富山県の人は採用しない!と言った経営者から学ぶ事

今回は2017年7月にちょっと話題になったニュースを。

ものづくり業界で「富山の会社と言えば」という言葉から、2つの会社が思い浮かぶ。

ひとつはチャック(ファスナー)を作るYKKと言う会社。

この会社の商品はとても身近で、洋服やジーパンやカバンのチャックを作っている。

きっと皆さんの家にあるチャックにも、YKKのロゴが入ったチャックがあると思う。

YKKが造るチャックは「さすが日本のものづくりは違うね」と言われる代表格。

よくチャックがバカになって動かなくなったり、チャックを上げても下げても開いてしまったりするよね?

こうなるチャックは海外製が多い。

日本の経済はダメだとかなんだかかんだ言われていても、日本ものづくりの技術力は頭ひとつ抜けている。

そして富山と聞いて、もうひとつ思い浮かぶ会社がある。

それは株式会社不二越(ふじこし)。

この会社は世間の人にはあまり知られていない。
けど富山ではYKKと同じく大企業の会社なんだ。

この不二越という会社はベアリングで有名。

ベアリングってこんな感じの部品ね。

円筒の部品の間に玉が入っていて、スムーズにクルクル回転する部品。

自動車や産業機械をバラすと、不二越が作っているベアリングに出会う。

「こんな部品なんてどこにでも作れるだろ」と思うかもしれないが、形はマネ出来ても精度のマネは難しい。

とりあえず「ベアリングが欲しいな」って思ったらこの不二越は必ずと言ってよいほど名前が上がるほど、ものづくり業界では有名なんだ。

以前は仕事上でお世話になった会社であり、何人か社員を知っている。

この不二越の会長が世間を「え?」と思わせ発言をしてニュースになっている。

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「富山県の人は採用しない」と言った富山の会社

不二越という会社は富山に根付いた会社。

その会社が2017年7月に本社を富山から東京に移転を決めた。

移転を決めた理由を会長を務める本間博夫(ほんま ひろお)氏がこんな事を言っている。

「先端の情報や優れた人材を獲得するため」

それに加えて

「富山の人は私は極力採用はしない。」

その理由は「富山の人は閉鎖な考え方が強い」から。

もう一度言うが、不二越は富山に根付いた会社。
この不二越に務める人の8割が富山の人。

この発言を聞いて「会長も富山出身なんだろう」と思った。

自分の生まれ育った地域は、良くも悪くも特別だよね。

そこに想いがあるから悪口を言ったりする。

しかしこの会長の出身は東京都。

これが明るみで出て話題になっている。

富山の人が閉鎖的?それは個人差だろ

企業がどんな人材を雇用しても自由。

けど「富山=閉鎖的」と決め付け、「閉鎖的=悪い」という考え方ってどうなんだろ?

富山出身の知り合いが2人いる。

そのひとりはどちらかと言えば内向的な人。
もうひとりは活発的で行動力があるタイプ。

当たり前の話だが富山出身=閉鎖的ではなく個人差によるんだよ。

富山出身の知り合いは富山県の人柄は「家族を大切にして、貯蓄する人が多い」と言っていた。
個人によってバラバラだけど、傾向としては閉鎖的な人が多いのは事実なのかもしれない。

それが事実だとしても、だよ。

今まで地元の人を多く採用して来た企業が「閉鎖的だからもう採用しません」と言っている。

ここから何が分かるのか?

これは「私の会社は書類選考や面接をしているけど、結局は何も分かっていません」ってこと。

日本の採用システムでは、人物像はおろか能力だって分からない

人を見る目があれば、閉鎖的かどうかは判断すれば良いんだよ。

分からないから一つのグループとして、その傾向があれば採用しない方法しか取れない。

これは不二越という会社が特別に能力が低い訳じゃないよ。

どこの企業も同じ。

もし見抜けたら学力やスポーツ大会の成績やボランティア経験があるとかで、判断はしないはずだよ。

これが今の日本が抱える採用システムの現状。

実際には人の履歴書や職務経歴書を見て、何が分かるのか?って言われたら分からんよ。
そもそも今は転職エージェントが手直しするから、本人が考えてない可能性もある。

面接も同じ。

面接の対策本も山ほどあるし、転職エージェントがアドバイスするから、みんな回答が同じになる。

これじゃ誰が採用しても同じだよ。

この問題は「富山の人は閉鎖的だから採用しない」では解決しない。

「個人をしっかり見定められるように採用の仕組みを見直していきます」だろ。

個人差をガン無視してグループ単位で評価されたら、富山の人が不満に思うのも無理はない。

そもそも閉鎖的なのが悪いこと?

一昔前はものづくりの業界は、色んな部署に派遣の人が多く存在していた。

派遣の人は若い人が多く人件費も高くない。

それに正社員の解雇は法律の規制が厳しい反面、派遣は契約を更新しなければ解雇となる。

派遣という雇用契約は企業にとってメリットだらけの仕組みなんだよ。

それが最近は見直されている。

その理由はあまりにも技術力が継承されないから。

派遣を多く活用した会社には「空白の数年間」というのがある。

工場のライン等ではよくある話なんだけど「この設備は誰が考えの?」が分からない。

「なんでこんな構造にしたの?」と聞いても「自分が入社した時から・・・」という返事。

一部の正社員と派遣の人が作ったのだろうけど、派遣の人は別の会社に行き・・・社員は定年を迎えて・・・「今じゃ誰も知らん!」って事がある。

だから次に考える人はゼロから考えて作るしか方法がない。
そうするとたいがい先人が経験したトラブルと同じ道を歩くことになる。

この空白の数年間に技術の蓄積や伝達がまるで行われていない。
これってものづくりの会社には大打撃だよ。

ここから学んだことは「人の入れ替えが激しくなると技術力は失っていく」ということ。

ようやく派遣人材を増やすことのネガに気付いたわけ。

日本の技術力は高いと言われる理由に、日本独自の雇用制度、終身雇用と関係があるだよ。

話を不二越に戻そう。

不二越は「閉鎖的な人は嫌だ。活発的な人が良い」と言っているが、仕事に活発的な人は転職にも活発的。

つまり「活発的な人を採用するデメリット」もあるってこと。

閉鎖的なのが決して悪いことばかりではない。

これは勝手な憶測だけど、不二越が高い技術力を持っているのって閉鎖的な社員が居たからだと思うんだ。

だからこそ技術力の継承がされてきたんだと。

「閉鎖的=悪い」と思うのはあまりに視野が狭いよ会長さん。
今後「不適切な発言」とか言って理由をごまかし、閉鎖的にならないで頂きたい。

不二越が10年後も技術力が継続して世界を一歩リードしていることを望む。

富山の人よ、頼んまっせ。

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