同じ会社に2回採用試験を受けた男。その結果はいかに?

もう数年前の話。

まだ面接官をやっていた頃。
当時勤めていた会社に1年で2回面接に来た男がいた。
一度不採用になった人が同じ会社に再度応募してきたんだ。

確か1回目に面接に来たのは2012年の冬。
2回目に面接に来たのは2013年の秋。

その間は約10カ月。

自分の当時の立場は面接官と言えど名ばかりで、実際には採用決定権はない。
決定権は当時の部長にあり、聞かれたら意見を言う程度の存在。

だから自分自身は履歴書や職務経歴書の書類選考にはあまりタッチせず、面接をするかどうかは部長の判断だった。

部長は履歴書や職務経歴書では同じ人物とは気が付かなかったみたい。

今回はそんな嘘のような本当の話。

同じ会社に2度も採用試験にのぞんだ男はどうなったのか?

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面接に「あれ?見たことあるな」って男が現れた

その日、面接を受ける人はひとり。

先に会議室で待っているとドアをノックする音。「コンコン!」

「はい。どうぞ」と声を掛けると男性がやや笑みを浮かべて室内に入ってきた。

「どうぞお座りください」と言うと目の前の席に座った。

その瞬間に「あれ?見たことあるな」って思ったんだ。
けど、勘違いかもしれない。

もしかしたら仕事の関係で会ったことが人だろうか?
ってことは同業者?
それとも近所で会った人とか。

そんなことを一瞬で考えた。
けど、誰かまったく思い出せない。

すると部長がこんなことを言い出した。
「あれ?以前にお会いしたことありますよね?」

「おまえもかい!」って思わず口から出そうになった。
ってことは・・・やっぱり同業者ってことだ。
けど誰だっけ?

「思い出せよ!おれ!」って必死で考えていると部長が「あのー。もしかして前に面接に来ました?」

「え?まじか」って口から出てしまった。

すると面接に現れた男が笑みを浮かべてちょっと照れた感じで
「え?ばれちゃいました」

怖い怖い!なんで照れてんだよ!っていうか「ばれちゃいました」は、ないだろうって思ったさ。

すると一気に記憶が蘇る。
そういえば昨年の冬に2人同時に面接したことがあった。

その時はまだ募集したばかりで「もっと良い人が来るだろう」って部長が2人共不採用した。

その後に何人か面接に来たが、希望の人物が現れずいつの間にか求人広告はなくなった。

そうだ。間違いない。その時の人だ。

部長の前にある履歴書をさりげなく覗き込む。
すると1回目に面接に来たあと、別の会社に転職していた。
そしてその7カ月後・・・退職していた。

つまり、前回の面接から履歴書を汚してきやがった。

企業にもプライドがある。一度不採用にした人を採用するなんてありえ・・・

職務経歴書を見ると、言われてみれば見覚えがある。
というか、内容がほぼ一緒じゃないか?

おれは思った。
「あのな。会社にもプライドっていうもんがある。
一度不採用にした人を理由なしに採用には出来ない。
ましてや直近の仕事を7カ月で退職した人間だ。
更にハンデを背負ってなぜ採用される思ったのか?
どの面下げてきやがったんだ」って。

面接は一通り終わり、廊下を歩きながら部長に「いや、ビックリしましたねぇ」と言ったんだ。

部長は「そうだねぇ。私もびっくりしたよ。まさか同じ人だとはねぇ。」とつぶやいた。

それから2週間後・・・・

・・・・

・・・・

・・・・

まさかの採用決定。

・・・・

言葉が見つからない。

「ハンデを背負ってどの面下げて採用されると思ったんだ」って思ったが逆に「どの面下げて採用にしてんだよ」

当然、部長に理由を聞いてみた。
そしたら「いや。二度も受けるってことは、それだけやる気があるってことだろ」だってさ。

なんという発想の転換。

部長よ、
一言だけ言わせてくれ。

おれはお前に一番びっくりだ。

転職に「なし」は「ない」泥臭く内定を勝ち取れ!

プロフィールにも書いたけど、おれは学生時代の偏差値は40ちょい。
資格もなければ、免許も自動車免許ぐらい。

一流企業で働いた訳でもない。

つまりハッタリを利かすことができない。

自分がハンデを背負っていることは十分承知している。
だからこそ他の人がやらないことをやらなきゃならない。

人のマネをしていたら、いつまで経っても採用なんてされいない。
僅かなスキを見つけて一点突破する。
自分らしく「泥臭く」やらなきゃいけない立場。

そう思っていた。

そんな自分も一度不採用になった会社に、もう一度応募しようとは思わなかった。

「どうせ無理だろ」って思い込んでいたし、なにより「恥ずかしい」という感情があった。
それに企業は不採用にするには、ちゃんと理由があるものだ、なんて思い込んだ。

そんな自分にとって、同じ会社に2度応募することは発想の外側。
発想の外側ってことは・・・そこにはチャンスがある。

2回面接に来た人がそう思ったかどうかは分からないが、内定を取ったのは事実。
まさに起死回生のホームラン。

人がやらない事、やりたくない事っていうのはチャンスの宝庫なんだ。

反省させれたよ。

皆さんもなんとなく「転職のルール」というのを勝手に作って、自分自身の可能性を消してはいないか?

もしそうであればもったいない。

転職において「なし」はない。

同じ会社に2度応募する根性のある男。その後どうなったのか?

この話にはオチがある。

面接をした男は、面接から一カ月ぐらい経って入社してきた。

知識は高い方だとは思わなかったが、持ち前の人懐っこさがあった。
可愛がられるタイプって言うのだろう。

きっとうまくやっていける、そう思ったんだ。

が、

が、

が、

3カ月で辞めました。
いったい世の中どうなってんだよ。

2度同じ会社に応募して、入社したら3カ月で辞める・・・これも発想の外側。
自分の中にある発想の貧困さがうらめしいよ。

思った以上に規格外の男だった。

仕事が合わなかったのか?
それともまた隙を見つけて別の会社に行ったのか?

それは分からん。

部長の顔色を見て、笑いを堪えるのが大変だったことは言うまでもあるまい。

結果を見ると「なんだよそれ」って内容だけど、大切なのは過程(プロセス)。

この男はスキを見つけ、人がやらないことを行い、内定というゴールに辿り着いた。
見抜く目、間隙を突く発想力、結果を得る行動力を持っている。

仕事人としては尊敬はできないかもしれんが、人としては尊敬すべき人物だった。

彼がこういう行動が出来たのは、自分を転職弱者だと認識できたからだと思うのよ。
学力が高い、有名企業に勤めている、強い資格がある人は、転職のルール通りにやれば勝てる。

強者なのだから。

ただ自分みたいに何も持たざる者は転職のルール通りやっても採用されない。
転職に限らず、まずは自分の立ち位置を正確に把握して作戦を立てること。

弱者には弱者の戦略があるはずだ。

勝負は戦力で決まると思う事は、策士としては愚かな発想。
勝負は勝機が見いだせるかどうかで決まる。

プロレスラーに真正面から殴り合っても勝てる訳がない。

だったら落とし穴を掘ってやろうか?

そんな発想が大切だ。

方法はひとつじゃない。

その重要さを教えてくれた、そんな男であった。

おさらい

  • 転職には「なし」はない。1度不採用でも2度目は分からん。
  • 転職は自分の立場を把握している奴が強い。
  • 内定(ゴール)のためなら見栄や恥を捨てる覚悟を持て。
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