退職金制度なしの求人へ転職したら大損という錯覚。計算して分かった

転職で一番大切なのが会社選び。
皆さんは何を基準に次の会社を探していますか?

求人を見たときに、最初に見ようとするのが職種や業界。
つまり自分は何を売りたい(作りたい)か?

次に気になるのが「給料」「休日日数」「地域」だろう。
会社選びのメインはこの「職種」「給料」「休日日数」「地域」の4つ。

しかしサブ的な要素も実は大切。

それは「社会保障」と「退職金」

求人を見ると退職金制度がなかったり、何も書かれていない事がある。
書かれてない会社の多くは「退職金制度なし」ってこと。

皆さんはこの「退職金制度なし」の会社についてどう思いますか?

そりゃ出来れば退職金はあった方が良い。
けど、「退職金制度なし」だけがネックで、他は良い会社って結構あるもんだよね。

ではでは、今回は「退職金の有無によって、マジな話どれぐらい損なの?」について具体例を出して説明するよ。

退職金制度の有無で、会社選びに迷っている人は読んでみて。

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国が調査した退職金の実態

まず初めに「退職金ってどれぐらいが相場なのか?」について。

退職金に関して公開されているデータは少ない。
どこの会社も退職金の額を求人等に掲載している会社はないし、就業規則には書いてあるが社内秘になっているから情報が出回らない。

その中でもありがたい事に、国(厚生労働省)が退職金の実態を調べてくれている。

そこで発表された退職金の相場はこちら。

学歴企業規模
大企業中小企業
大学卒2489万円1139万円
高校卒2268万円1083万円

分類としてまず「大卒か?高卒か?」に分かれる。
このデータを見る限り、大卒・高卒の差は50~200万円で大きな差ではない。

大きく差を生むのは「大企業か?中小企業か?」の違い。
この差は倍ほど金額の差がある。

高い順に並べると「大卒で大企業」→「高卒の大企業」→「大卒の中小企業」→「高卒の中小企業」になる。

平均値だから最低額ではないが、高卒で中小企業でも1000万円の退職金を期待して良い。

そして、このデータはネットで「退職金 いくら」「退職金 相場」と検索すると同じデータが山のように使われている。

このデータが多く使われるってことは信憑性も高いことかな?

「へぇ。退職金って思ってたり高いな。この金額を基準に人生設計をしよう。住宅ローンも退職金があれば楽勝じゃん」と思った人。

そんな人へ伝えたい。

目を覚ませ」と。

現実を見ろ!あなたの周り人は退職金をいくらもらっていますか?

あなたの身の回りで定年退職した人。
親でも親戚のおじさんでも誰でもいい。

民間企業に勤めている人の中で、退職金が2400万超えている人は何人いますか?

オレは一人も知らない。

ちなみにオレは田舎に住んでるわけじゃない。
地方ではあるが50万人規模の都市に住んでいる。

東京や大阪と比べたら小さいが、田舎ではなく全国的にはそこそこ大きな規模。

大企業もたくさんある。

しかし、退職金の平均値である2400万円をもらった人を一人も知らないってどういうこと?
さて、皆さんの周りにはたくさんいますか?

まぁ、いないよね。

この現実をどう考えるのか?

国が退職金を多く見せたい理由を知れ

話しがそれてしまうが、ここで公務員の退職金について。

公務員についても定年でもらえる退職金って公表されているんだ。

その数字は平均2300万円。

公務員とは民間と違い、何かを売って儲けている訳ではない。
売上がないのに、どうやって退職金を決めているのか?

それは「民間企業に合わせます」と言っている。

大企業の退職金が2400万円に対して、公務員は少し減って2300万であるから「民間企業に合わせている」と言える。

突然ですがここで3択問題です。

あなたは公務員です。
退職金は多く欲しいと思うのは誰でも同じ。
では出来るだけ高い退職金を貰うためには、どうすれば良いでしょうか?

  1. 民間企業の退職金が増えるように「頑張れ」とエールを送る。
  2. 民間企業が退職金を下げても「いやいや」と駄々をこねる。
  3. 民間企業の退職金の平均値を高く見せかける為に、都合の良いデータをビックアップする。

さぁ、このうちで正解はどれだ?

・・・。

・・・。

お察しの通りだから、正解はあえて言わないよ。

事実として言えのは・・・。

上記の退職金データを作成しているのは厚生労働省という公務員であるってこと。

私達が肌感覚で知っている退職金と、国が公表している退職金に差ががあるのは、公務員の退職金を上げるため。

これを知ってか知らずか、ネット上ではこのデータが正しいと公表する人がいるから怖い。

皆さんは騙されちゃいかんよ。
これを参考に人生設計したら、その時点で多くの人は人生破綻します。

ある大企業の退職金を実際に計算してみた

ここである大企業の退職金について、実際のデータを元に計算した結果を公表する。

今回使う企業データはこちら。

資本金:40億円
従業員数:国内1500人、海外合わせると1万人。
売上高:海外含め2000億円
業界:ものづくり系

これって明らかに大企業に分類されるよね。

この会社の退職金は「勤続年数」と「出世スピード」に大きく影響する。(多くの会社は出世と退職金に関係がある)

だから、あえて超スピード出世した人を想定して計算した。

具体的に言うと

  • 22歳で大卒で入社
  • 25歳で主任クラス
  • 30歳で係長クラス
  • 35歳から課長クラス
  • 40歳から部長クラス
  • そのまま60歳で定年退職

これってスピード出世だよね?

その人の退職金をまじめに計算したところ・・・1522万円。

部長クラスというのは、みんながなれるわけじゃない。
若者の数が増えていたときは、誰でも管理職になれた。

それが少子高齢化になり同じペースで管理職にしたら、平社員より管理職の方が多くなってしまうわけ。
ましてや人数が多い大企業では、部長になれずに退職する人も増えている。

大企業で超スピード出世した人でも1500万止まり。
じゃ普通に出世して部長まで言った人は?・・・1000万円ちょいです。

中小企業の場合さらに下がるだろう。

つまり退職金の相場って1000万を超えると「おお。やったね」

800万円ぐらいだと「貰えた方じゃん?」
500万円ぐらいだと「このご時世だからしょうがいないよね」というのが妥当なライン。

そしてもっと大きな事実。
それは全会社の1/4は退職金がありません。

これが実態なの。
むしろ退職金を出さない会社が少しずつだが増えている。

退職金1000万円ってどれぐらいの価値だ?

長くなってしまったが、ここからが本題。

退職金が1000万円もらえる会社と、退職金ゼロ会社があったする。
このどちらか好きな方を選んでと言われたら誰でも「退職金1000万円がある会社」と答える。

では、1000万円ってどれぐらいの価値があるのか?

これが重要。

会社は退職金を払えるように積立をしている。
じゃいくら積立しているのか?

では計算するよ。(簡単だからついて来て~)

大卒で22歳から入社して60歳で定年を迎えると、勤続年数は38年ってことになる。
1000万円を38年で割ると・・・26万3千円。

つまり年間26万円を会社は積立している。

これを月に換算すると?
さらに12月で割るから・・・2万2千円になる。

つまり退職金1000万円は、月給に換算すると2万2千円の価値があると言える。

逆に言うと、あなたが22歳から月に2万2千円を貯金すれば、60歳を迎えると1000万円貯まっている。

ってことはだよ。

月給22万で退職金1000万円の人と、月給24万2千円で退職金ゼロの人は差がない。
(※正確には退職金は税金が優遇されているから差がでるが)

もちろん月2万円でも貰えるお金は増えた方が嬉しい。
嬉しいが、オレには退職金1000万円が、そんなに大損には思えないんだよ。

そして転職することで月給2万円上げることは、出来ない話じゃない。

そもそも論。転職すると退職金は減るぞ!

退職金の差を生む大きな要素は勤続年数なんだよ。
これはどの会社でも一緒。

入社して日が浅いひとは退職金があまり増えない。
入社して3年以内に退職すると退職金がゼロという会社って多い。

5年勤めると約50万円ぐらい。(月に2万2千円で計算すると131万円)

10年で100万円ぐらいが相場。(月に2万2千円で計算すると263万円)

これは自主退職係数というのがあって、入社日が浅い人ほど減額される仕組みがある。

そして勤続年数が10年を超えると退職金の増え幅が多くなる。

わかりやすくグラフにするとこんなイメージになる。

退職金と勤続年数の関係性その1

では転職により中途採用された人はどうなるか?

それはこのグラフで途中で終わる。

退職金と勤続年数の関係性その2

つまり退職金が大きく増える上昇カーブの途中に定年を迎える。
転職し入社時期が遅ければ遅いほど、退職金は減る。

これが若い人には評判が悪い、終身雇用という制度を作ってきたわけ。

退職金だけを気にする人は、転職しない方が良い。
転職にはこういうデメリットもある。

まぁ、その金額は一括だと大きく見えるが、月に換算すると大した額じゃないけどね。

転職者に追い打ちを掛ける退職金の税金優遇

転職者に追い打ちとなるのが、退職金の税金優遇。

退職金はある勤続年数によって、税金が掛けられる金額が違う。
そのボーダーラインは勤続年数20年。

この20年を超えると一気に税金が安くなる。

計算式はこちら。

・勤続年数20年以下の控除額・・・40万円X勤続年数
・勤続年数20年超える人の控除額・・・800万円+70万円X勤続年数

控除額とは税金が免除される金額のこと。
つまり所得より控除が大きければ税金はゼロ円になる。

計算式で出されてもよく分からん。ってことグラフにしてみた。

退職金控除額と勤続年数の関係

グラフにすると勤続年数が20年が分岐で、税金の控除額は明らかに違う事が分かる。

ちなみに勤続年数が20年だと800万円の控除。
勤続年数が38年だと2060万円が控除される。

「退職金が2000万円を超えるって大企業の重役クラスとかぐらいだろ?」って思うでしょ?

そこには公務員の存在がいる。

先程述べたように公務員の退職金は2300万円。公務員の多くは新卒だから2060万円以上の控除がされる。

ってことは・・・ほとんど退職金で税金払っていないってこと。

具体的に言うと
2300万円(退職金)ー2060万円(退職金控除額)=240万円(

この240万円に税金が掛かるから、所得税は約14万円。
住民税が10%で24万円。
税金の合計は38万円。

残りの2262万円が税引き後の金額になる。
ね、鬼のように税金が安いでしょ。

転職すると勤続年数が減ってしまい退職金の税制優遇が受けづらい。
転職にはこういうデメリットもある。

と言いたいが、勤続年数が20年で800万円の控除という設定がおかしく、民間企業でそんな退職金が高い会社はないから、あんまり関係ないんだけどね。

さらに!そもそも20年・30年後、退職金は出る保証などない

4社中に1社は退職金制度がないっと言ったが、昔はもっと退職金を出す会社が多かった。
実際に退職金を出す会社の割合は、1993年には92.0%だったが、2013年には75.5%まで減っている。

つまり入社したときは「退職金制度があったが途中でなくなった」というケースは少なくない。

そういう会社の多くは「退職金の途中精算」が行われる。

しかし退職金って勤続年数によって大きく左右されるから、途中で精算されたら定年時に期待していた金額には遠い。

もっと悪いケースは途中精算もまともに支払わない会社。
それって最初に結んだ労働契約を守らないのだから、普通は支払わせることができるよ。

ただし裁判で争えばね。

「払わん」と言っている相手に「払え」と強制するためには裁判しかないんだよ。

裁判で争った会社に在職する根性はありますか?
そのとき、あなたが50歳であれば、次の転職は険しい道のり。

だから納得はできないが、泣き寝入りしている人がいる。

そう考えるとだよ。

「後払いされる退職金など、はなから当てにしない。」
こう考えるのが良いと思っている。

そう思うと退職金1000万円という大きく見える金額は、月2万2千円にも及ばない価値になるのかもしれない。

もし転職の求人で「退職金制度なし」という会社を見かけたら

  • 退職金1000万は月給2万2千円ぐらいの価値だな
  • 途中で退職金がなくなる会社もあるんだな

と考えると、その重要性が分かりませんか?

仕事選びに悩んでいる人は参考にしてくんさい。

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